影の松本清張
文字数 1,434文字
何を訳の解らない事を言っているんだよ!
僕が彼女を作らないのは、「母ちゃんと僕とボロ自動販売機の問題」の小説の中でも僕は主張したけど、面倒くさいからだよ。
それに、この2作品が短編だから、僕に勧めるって?
如何いう事なんだよ?
短編だったら、みんな良い作品に成るのかよ?
短編は字数が少ないから、無知無学の敬太でも最後まで読める可能性が在るから、良い本なんだよ。
小説はね、最初から最後まで読んで、評価すべきなんだよ。
清張の作品は、短編に味の在る傑作が多いんだよ。
だけど「遠くからの声」は、最初に読み始めた時には、清張作品の中では特に凄い傑作だとは思わないかも知れないよ。
だけど、超上品で超美人で超優しい、母ちゃんには、傑作作品なんだよ。
しょうがないだろ、お前は凄い小説家の清張さんの本を、500冊も読めないっていうから、2冊に絞るしか無かったんだよ、500冊って数字は500円と数字の値は同じだよ。大した数じゃないよ。
今から「遠くからの声」を、母ちゃん独自の見解で紹介するから、頭に叩き込むんだよ。
「遠くからの声」っていう本は、遠くからの声なんだよ。
今の啓太の言葉は、無視します。
正直に言うよ、この本を読んでいる時は、清張の本をイッパイ読んでいる私に取っては、大した物語じゃないと思っていたんだよ。
だけど、この「遠くからの声」っていう本の凄さは、読後、3年、5年、10年後に襲って来るんだよ。
主人公の啓子の切ない悲痛な声が、時々、先の見えない深くて遠い霧の空間から漂い、押し寄せて来て頭から離れなくなるんだよ。
松本清張の快い
お前にも、清張の