ああ言えばこう言う大森さん
文字数 2,109文字
どこの女子高でも、服装チェックや持ち物の抜き打ちチェックはあると思います
うちの学校でも、たまにあります
でも、アニメでやってるみたいに校門で先生が、みたいなことはありません
うちの学校のやり方は、実に卑怯そのものなのです
あるときは帰りのホームルームの時間に突然に、ある時は体育の終わった後の着替えの時間に、といった逃げ場のないときにやられます
その日は、登校の時間に、なんと玄関に入った下駄箱で室内履きに履き替えた直後に、風紀の先生と風紀委員がずらっと並んで生徒を待ち構えていました
「やるわね、上履きになったら外に逃げられないもんね」
一緒に登校してきた奈々が、あきれたという感じで言いました
「まあ、私たちは別に問題ないからいいじゃん、今日は校則違反の持ち物持ってきてないし」
奈々が頷きました
「まあね、そろそろありそうだってメッセ回って来てたし」
そうなのです、実はうちのクラスでは風紀委員にスパイを送り込んでいたのでした
というわけで、クラスのみんなは簡単なチェックで検問を潜り抜け、クラスへと向かって行きました
あたしたちも無事に潜り抜けたその時でした
「ちょっと待ちなさい」
風紀の先生の声が響きました
振り返ってみると、2Dの問題児と言われている大森さんが呼び止められていました
「ねえ、ちょっと面白そうじゃない」
奈々が言いました
「え? どうせ叱られておわりでしょ、さっさと行こうよ」
すると奈々がにやっと笑って言いました
「大森さんのあだ名知ってる?」
「知らない」
「口から生まれた口先女っていうのよ」
「なにそれ?」
「まあ、いいから見てようよ」
というわけで、あたしと奈々は階段の影から風紀の先生と大森さんのやり取りを覗き見る事にしました
風紀の先生は、まず大森さんの足を示して言いました
「あなた、校則ではカラータイツは禁止です、それはなんですか」
先生は大森さんの履いたブラウンのタイツを示して言いました
すると大森さんは目を真ん丸にして言い返しました
「先生、先生にはこれがカラータイツに見えるんですか、なんてことでしょ、大きな間違いです、これは冷え性のあたしが懸命に見つけてきた200デニールの普通のストッキングです、分厚い上にあたしの足がもともと日焼けで浅黒いからカラータイツのように見えているだけです、よーく見てください」
そう言うと、大森さんはビロ~ンとストッキングを引っ張りました
伸びたストッキングは何となく普通の肌色に見えます
あたしと奈々は顔を見合わせました
「200って、どんだけ厚いのよ、それまんまタイツじゃないの?」
「冬用タイツだって160とかよね?」
しかし、先生は反論できない様子でした
「わ、わかりました、で、ですが、そのかばんに付けているマスコットは何ですか? 規則では10センチ四方を超えるマスコットの着用は禁止している筈です」
先生は大森さんのカバンに着いた謎の人形を指して言いました、なるほどそれはかなり大きなものでした
すると大森さんは、ますます目を丸くして反論しました
「先生、先生にはこれがマスコットに見えるのですか! 何という事でしょう、これは我が家で信仰しているおべころっちゃ様のお姿を映したお守りです!」
あたしと奈々は、あんぐりと口を開きました
「なにそれ…」
さすがに先生も、これはおかしいと思ったようです
「いい加減なことを言うのは止めなさい、そんなもの聞いたことありません」
ですが大森さんは引きませんでした
「先生はすべての宗教を知っているのですか? 我が家の信仰にけちをつけるのですか? このおべころっちゃ様は、それは由緒ある神様で、ご霊験あらたかで、あたしみたいな頭の悪い人間がこの学校に受かったのも、信仰のおかげなのです。それを否定されたら両親もきっと嘆きます、先生うちの両親に謝ってください」
あまりの剣幕に先生がたじろぎました
大森さんは、ここぞとばかりに畳みかけました
「このお守りは、肌身離さず持っていなければ役に立たないのです、もし先生がこれを没収してあたしの身に何か起きた時、学校はあたしに保障をしてくれますか? 安全を約束してくれるのですか?」
「い、いえ、さすがに、それは…」
先生の声のトーンが明らかに下がりました
「では、問題ないですね? もう予鈴が鳴りますから、あたし行きますよ」
そう言って、大森さんが検問をしていた風紀の先生と風紀委員の前から立ち去ろうとした直後でした
「あ…」
大森さんは、いきなり足を滑らせその場にパタッとこけました
そして…
「え?」
「あ…」
「しまった!」
転んだ大森さんの頭から、黒いボブヘアのウィッグが外れ、見事な金髪に染め上げた地毛が出現したのでした
翌日から、大森さんは2週間の停学になったのでした
まあ、あたしと奈々は面白いショーが見られたと、停学開けで登校してきた大森さんに、購買のいちご牛乳をプレゼントしてあげたのでしたw
うちの学校でも、たまにあります
でも、アニメでやってるみたいに校門で先生が、みたいなことはありません
うちの学校のやり方は、実に卑怯そのものなのです
あるときは帰りのホームルームの時間に突然に、ある時は体育の終わった後の着替えの時間に、といった逃げ場のないときにやられます
その日は、登校の時間に、なんと玄関に入った下駄箱で室内履きに履き替えた直後に、風紀の先生と風紀委員がずらっと並んで生徒を待ち構えていました
「やるわね、上履きになったら外に逃げられないもんね」
一緒に登校してきた奈々が、あきれたという感じで言いました
「まあ、私たちは別に問題ないからいいじゃん、今日は校則違反の持ち物持ってきてないし」
奈々が頷きました
「まあね、そろそろありそうだってメッセ回って来てたし」
そうなのです、実はうちのクラスでは風紀委員にスパイを送り込んでいたのでした
というわけで、クラスのみんなは簡単なチェックで検問を潜り抜け、クラスへと向かって行きました
あたしたちも無事に潜り抜けたその時でした
「ちょっと待ちなさい」
風紀の先生の声が響きました
振り返ってみると、2Dの問題児と言われている大森さんが呼び止められていました
「ねえ、ちょっと面白そうじゃない」
奈々が言いました
「え? どうせ叱られておわりでしょ、さっさと行こうよ」
すると奈々がにやっと笑って言いました
「大森さんのあだ名知ってる?」
「知らない」
「口から生まれた口先女っていうのよ」
「なにそれ?」
「まあ、いいから見てようよ」
というわけで、あたしと奈々は階段の影から風紀の先生と大森さんのやり取りを覗き見る事にしました
風紀の先生は、まず大森さんの足を示して言いました
「あなた、校則ではカラータイツは禁止です、それはなんですか」
先生は大森さんの履いたブラウンのタイツを示して言いました
すると大森さんは目を真ん丸にして言い返しました
「先生、先生にはこれがカラータイツに見えるんですか、なんてことでしょ、大きな間違いです、これは冷え性のあたしが懸命に見つけてきた200デニールの普通のストッキングです、分厚い上にあたしの足がもともと日焼けで浅黒いからカラータイツのように見えているだけです、よーく見てください」
そう言うと、大森さんはビロ~ンとストッキングを引っ張りました
伸びたストッキングは何となく普通の肌色に見えます
あたしと奈々は顔を見合わせました
「200って、どんだけ厚いのよ、それまんまタイツじゃないの?」
「冬用タイツだって160とかよね?」
しかし、先生は反論できない様子でした
「わ、わかりました、で、ですが、そのかばんに付けているマスコットは何ですか? 規則では10センチ四方を超えるマスコットの着用は禁止している筈です」
先生は大森さんのカバンに着いた謎の人形を指して言いました、なるほどそれはかなり大きなものでした
すると大森さんは、ますます目を丸くして反論しました
「先生、先生にはこれがマスコットに見えるのですか! 何という事でしょう、これは我が家で信仰しているおべころっちゃ様のお姿を映したお守りです!」
あたしと奈々は、あんぐりと口を開きました
「なにそれ…」
さすがに先生も、これはおかしいと思ったようです
「いい加減なことを言うのは止めなさい、そんなもの聞いたことありません」
ですが大森さんは引きませんでした
「先生はすべての宗教を知っているのですか? 我が家の信仰にけちをつけるのですか? このおべころっちゃ様は、それは由緒ある神様で、ご霊験あらたかで、あたしみたいな頭の悪い人間がこの学校に受かったのも、信仰のおかげなのです。それを否定されたら両親もきっと嘆きます、先生うちの両親に謝ってください」
あまりの剣幕に先生がたじろぎました
大森さんは、ここぞとばかりに畳みかけました
「このお守りは、肌身離さず持っていなければ役に立たないのです、もし先生がこれを没収してあたしの身に何か起きた時、学校はあたしに保障をしてくれますか? 安全を約束してくれるのですか?」
「い、いえ、さすがに、それは…」
先生の声のトーンが明らかに下がりました
「では、問題ないですね? もう予鈴が鳴りますから、あたし行きますよ」
そう言って、大森さんが検問をしていた風紀の先生と風紀委員の前から立ち去ろうとした直後でした
「あ…」
大森さんは、いきなり足を滑らせその場にパタッとこけました
そして…
「え?」
「あ…」
「しまった!」
転んだ大森さんの頭から、黒いボブヘアのウィッグが外れ、見事な金髪に染め上げた地毛が出現したのでした
翌日から、大森さんは2週間の停学になったのでした
まあ、あたしと奈々は面白いショーが見られたと、停学開けで登校してきた大森さんに、購買のいちご牛乳をプレゼントしてあげたのでしたw