初めてのデート

文字数 1,455文字

ついにお付き合いを始めた彼とのデートの日です

朝7時には起きて、慣れてない化粧を一生懸命頑張ってます

待ち合わせは10時だから、9時過ぎに家を出れば間に合うはずです

まず邪魔な前髪を髪ゴムでまとめて鏡を見ます

ええと、ベースクリームからファンデ、頬にチークはいらないよね、肝心なのは目だから、アイラインを…

クレンジングシート!

アイラインを…

やり直し!

今度はうまくいったかしら?

そしたら、アイシャドウ…の前に眉やっちゃわないと

う…左右揃ってない!

クレンジングアゲイン!

眉山のピークは三分の一の箇所に…

変だ、まるで魔女の眉毛だわ

何故、何故なの、何故うまくいかないの!

「なんでよお!」

その時部屋の襖が開きました

「朝からうるさいわね」

姉でした

あたしは半べその顔で姉に泣きつきました

「化粧が上手くいかない~」

姉はふんと鼻で笑いました

「慣れてないんだから厚化粧なんて諦めな」

「でも大事な初デートなの~、奇麗になりたい~」

姉は腕組みしてあたしを見ると、肩をすくめて言いました

「判ったわよ、あたしがナチュラルメイクやったげる、一回全部落としな」

「ありがど~」

鼻水の出始めた顔であたしは姉に頭を下げ両手を合わせて拝みました

「高校生なんだから、無理にアイメイクなんていらないし、眉も形ととのえただけでいいのよ、ファンデにリップ、あと睫毛エクステで十二分よ、気持ちフェイスラインにチーク入れてもいいけど、あんた太ってないからいらないわね」

さすが現役女子大生です、姉は素早くあたしの化粧を完成させました

「うそ、これがあたし、いけてる!」

鏡の中の自分を見て、あたしはびっくりしました

「うん、さすが我が妹、化粧乗りはばっちり、完全に別人だね」

あとで考えると褒められてないと気付くのですが、この時はそれどころじゃありませんでした

「お姉、ついでに頼みが! 服選びもお願い!」

そこから30分以上かけて、服を選び時計を見たあたしは飛び上がりました

「約束15分前!」

こ、これは完全に遅刻パターンです

とにかく着替えたあたしは、バッグとスマホもって家を出ます

姉があたしに何か言おうとしてましたが、それどころじゃありません

電車待ちながら彼に、遅刻するとメッセージ

優しい彼は、大丈夫だからあわてずに来てと返信

いい人で良かった…

何とか10分遅刻で待ち合わせ場所に着きました

彼に駆け寄り、肩で息をしながら謝りました

「ごめんなさい、待たせちゃって、服が決まらなくて」

「あはは、女子ってそういうの良くあるって聞いたけど、本当なんだ」

彼はそう言うと、じっとあたしの顔を見つめました

「え?」

本当に穴のあくほどじっと見つめました

も、もしや、お姉の化粧がうまくて見とれてる?

あたしの頬がぽっと赤くなります

あたしは、そっと彼に聞きました

「あたし、い、いつもと違うか、な…」

彼が頷きました

「うん、全然違う!」

あたしは、内心で「やった!」と叫びました、顔には出さないよう気を付けて

でも、次に彼が言った言葉であたしは固まったのでした

「その髪の毛を前でまとめて縛るの初めて見た、斬新だよね、見違えちゃった」

オー、ノー! 化粧するのに縛った髪をほどいてなかったじゃん!

あたしは、ただ力なく笑ってごまかすしかできませんでした、えへへ、えへ、えーん!


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