衣替え
文字数 1,526文字
制服が夏服になりました
今年も夏は暑くなるそうです
あたしたちの学校の一般教室には冷房はありません、あるのは視聴覚室や実験室、保健室や教員室だけ、前から差別だってみんな言ってますが、私学なのでエアコン設備用の自治体補助金はなかなかまわってこないそうなのです
もう十分に暑いくらいなのですが、梅雨を過ぎるとまさに猛暑になります
それを見越したかのように、先生が衣替えの初日に教室で夏に向けての諸注意を話し始めました
「いいですね、わが校の生徒は夏になると特にだらしなくなります、今年の夏は決してそんなことが無いように幾つか注意点を言っておきます」
先生はボードに注意点を書くためマーカーを握って、教卓のタブレットに文字を書き始めました
1、授業中スカートの後ろ裾を椅子の背もたれにかけるのを禁止します
教室が急にざわめきました
「まじですか先生!」
委員長の喜美香が眼鏡をずらしたまま叫びました、それくらいこれは大きな禁止項目としてあたしたちにのしかかったのです
先生は大きく頷きました
「もちろん本気ですよ」
先生は更に文字を書き足します
2、授業中の裸足を禁止します、上履きは必ず着用、ソックスも
教室内に悲鳴が響きました、これは拷問です!
先生の注意書きはまだ続きました
3、下敷き、クリアファイルでスカートの中を扇ぐのを禁止します
誰かが「ノー!」と大声を上げました、なんてことでしょう、これを禁止されたらどうやって涼めというのでしょう!
先生が静かにと注意をし、またマーカーを握りました
そして、次の項目を書いた後、教室内が大騒ぎになったのです
4、ブラウスの下には、清楚な下着を必ず着用すること、ノーブラは発見次第帰宅させます、またブラウスの下に体操着、水着などを着用するのも禁止します
「部活に行く前に着替えるんですか! 不効率です!」
ソフト部のキャプテンの曜子が叫びました
「水着は、先に着ていた方が便利なんです…」
水泳部のレギュラーの三奈が言うと、先生が言いました
「水泳部でもないのに、水着を着ていた生徒がかなりみられましたよ去年、絶対に禁止です、体操着も同じです、きちんと部室で着替えなさい」
なげきの声が教室に溢れました
その時、文芸部の富美加が手を上げて質問の許可を求めました
「なにかしら?」
富美加がおずおずと聞きました
「あ、あの、清楚な下着って具体的にどういったものなのでしょう…」
みなが一斉に「おお!」と声を上げました
たしかにこれでは漠然としすぎです
先生が、コホンと咳ばらいして言いました
「まず、スポブラは許します、ただし色は白のみ、それからキャミソールも白でしたらフリルなどが目立たないものに限り許します、Tシャツは禁止です、ブラについては色付きはだめです、ストラップの有無は問いませんが、出来るだけ紐はついているのが望ましいです」
教室内のざわつきが頂点に達しました
今度は、帰宅部の代表みたいな由奈が手を勢いよく上げました
「先生、すっごく大事なん事なんですけど」
「なにかしら?」
「ブラはどの程度のフリフリまで許されるんですか!」
生徒の視線が一気に由奈に集まりました
なるほど、これは大きな問題です!
一瞬、先生は沈黙しましたが、次の瞬間意外な行動を起こしました
「概ねこれが限界と思いなさい!」
先生は、自分のブラウスの前をはだけ、地味な白一色のブラジャーをあたしたちに見せたのでした
その、およそ飾り気のない下着を前に、あたしたちは心の底からため息を吐き、こう呟きました
「この夏は地獄確定だわ」
今年も夏は暑くなるそうです
あたしたちの学校の一般教室には冷房はありません、あるのは視聴覚室や実験室、保健室や教員室だけ、前から差別だってみんな言ってますが、私学なのでエアコン設備用の自治体補助金はなかなかまわってこないそうなのです
もう十分に暑いくらいなのですが、梅雨を過ぎるとまさに猛暑になります
それを見越したかのように、先生が衣替えの初日に教室で夏に向けての諸注意を話し始めました
「いいですね、わが校の生徒は夏になると特にだらしなくなります、今年の夏は決してそんなことが無いように幾つか注意点を言っておきます」
先生はボードに注意点を書くためマーカーを握って、教卓のタブレットに文字を書き始めました
1、授業中スカートの後ろ裾を椅子の背もたれにかけるのを禁止します
教室が急にざわめきました
「まじですか先生!」
委員長の喜美香が眼鏡をずらしたまま叫びました、それくらいこれは大きな禁止項目としてあたしたちにのしかかったのです
先生は大きく頷きました
「もちろん本気ですよ」
先生は更に文字を書き足します
2、授業中の裸足を禁止します、上履きは必ず着用、ソックスも
教室内に悲鳴が響きました、これは拷問です!
先生の注意書きはまだ続きました
3、下敷き、クリアファイルでスカートの中を扇ぐのを禁止します
誰かが「ノー!」と大声を上げました、なんてことでしょう、これを禁止されたらどうやって涼めというのでしょう!
先生が静かにと注意をし、またマーカーを握りました
そして、次の項目を書いた後、教室内が大騒ぎになったのです
4、ブラウスの下には、清楚な下着を必ず着用すること、ノーブラは発見次第帰宅させます、またブラウスの下に体操着、水着などを着用するのも禁止します
「部活に行く前に着替えるんですか! 不効率です!」
ソフト部のキャプテンの曜子が叫びました
「水着は、先に着ていた方が便利なんです…」
水泳部のレギュラーの三奈が言うと、先生が言いました
「水泳部でもないのに、水着を着ていた生徒がかなりみられましたよ去年、絶対に禁止です、体操着も同じです、きちんと部室で着替えなさい」
なげきの声が教室に溢れました
その時、文芸部の富美加が手を上げて質問の許可を求めました
「なにかしら?」
富美加がおずおずと聞きました
「あ、あの、清楚な下着って具体的にどういったものなのでしょう…」
みなが一斉に「おお!」と声を上げました
たしかにこれでは漠然としすぎです
先生が、コホンと咳ばらいして言いました
「まず、スポブラは許します、ただし色は白のみ、それからキャミソールも白でしたらフリルなどが目立たないものに限り許します、Tシャツは禁止です、ブラについては色付きはだめです、ストラップの有無は問いませんが、出来るだけ紐はついているのが望ましいです」
教室内のざわつきが頂点に達しました
今度は、帰宅部の代表みたいな由奈が手を勢いよく上げました
「先生、すっごく大事なん事なんですけど」
「なにかしら?」
「ブラはどの程度のフリフリまで許されるんですか!」
生徒の視線が一気に由奈に集まりました
なるほど、これは大きな問題です!
一瞬、先生は沈黙しましたが、次の瞬間意外な行動を起こしました
「概ねこれが限界と思いなさい!」
先生は、自分のブラウスの前をはだけ、地味な白一色のブラジャーをあたしたちに見せたのでした
その、およそ飾り気のない下着を前に、あたしたちは心の底からため息を吐き、こう呟きました
「この夏は地獄確定だわ」