(二)-4

文字数 217文字

 一行は昼過ぎに城を出て行った。そんなに広くない藩の領内とはいえ、はずれに位置する山間部の村に到着する頃にはすっかり日が落ちてしまい、酉の刻の鐘が聞こえた後だった。
 晴れていればそのまま街道でかがり火を焚いて陣取る手筈であったが、小雨とはいえ雨が降り続いていたので一行は村に点在する家々に一人づつ潜んで賊を待つことにした。

 普段は同心として藩内の治安維持などの役目を負っている谷川左内と柏原衛守も、簑笠(さりつ)を脱いで一息ついていた。

(続く)
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