(四)-2
文字数 224文字
しばらくは何もなかった。ときどき雨粒が落ちて本殿の屋根に当たる音が聞こえたのと、数馬自身の吐息の音だけが聞こえた。それ以外は静けさだけが充満していた。
息がようやく整ってきたころ、澄ましていた耳に草履の音が聞こえた。ゆっくり歩いている音だった。どこにいるかはわからなかった。足音は左から右方向へ進んで行った。遠い方、恐らく、拝殿の背後の方を回って、神社の正面の方へと歩いているのだろう。やがて右の方から足音が聞こえて、それはやがて消えた。
(続く)
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