(三)-7
文字数 230文字
そこで肥富数馬はこの黒井右内に剣術を学ぶため江戸へ出てきた。しかし、江戸に到着した頃には、右内はある事件をきっかけに江戸から姿を消してしまっていた。
その後、数馬は各藩を放浪しながらこの右内を探していた。そして前橋藩内に逗留していたとき、信濃の山間部に右内によく似ている盗賊がいるという噂を聞いたのだ。
数馬は右内の方を見た。
「もしそうなら、どうする?」
「賊は捕らえねばならん!」
右内の言葉にそう返すと、谷川左内は刀を振り上げて右内に斬りかかった。
(続く)
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)