(二)-10

文字数 241文字

 街道へ抜けて追いかけていくと、一人、また一人と味方の岡っ引きが斬られて倒れていた。
 黒井右内が、追いついた岡っ引きを一人づつ斬っているのだろう。
 こちらも村で何人かは賊を捕縛できたが、ほとんど取り逃がしている状況だった。そして一番の使い手が殿(しんがり)を務めて討伐隊の追撃をかわしていた。
 追いかけている途中で、肥富数馬が追いついてきた。笛の音が野盗との遭遇の合図という話を聞いておらず、民家の一軒に入り、酒をごちそうになっていたという。そのため遅れたと走りながら谷川左内に話した。

(続く)
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