(四)-5(了)

文字数 288文字

 数馬はその刀を右の刀で受け流そうとしたが受けきれなかった。数馬は何とか身を捻って右を引くようにしてはいたものの、右肩からまっすぐ下へと斬られた。そして同時に右手の刀を落としていた。
 ただ、同時だったのは刀を落としただけではなかった。左手で持っていた刀を右内の腹にまっすぐ突き刺した。そして右手の刀が落ちてから抜いた。
 黒井右内の動きは止まっていた。その痛みに耐えているのか、苦渋に満ちた顔になっていた。そして腹を押さえ、刀の先をこちらに向けながら右内は後ずさりし、橋を渡り、拝殿の方へ退いていった。
 数馬は肩の痛みでその場でへたり込んだ。そして傷の痛みで意識を失った。

(了)
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み