(四)-3

文字数 263文字

 すると今度は拝殿の階段を上がる音がした。
 数馬はあせった。間違いない。こちらにくる。ここにはもう逃げ場はないのだ。
 とっさに本殿の中を見回すと、板壁に囲まれた空間の中央に高坏が置かれその上に鏡が置かれていた。ご神体だ。さらにその前には台座に二振りの刀が置かれていた。
 その刀は両方とも同じ長さのものだった。数馬はとっさにそれを両手でそれぞれ一振りづつ掴んだ。拝殿の方を見ると、扉の格子越し人影が見えた。
 すぐに二振りの刀を腰に差すと、数馬は扉を開けた。ちょうどそのとき拝殿の扉も開いた。そこには黒井右内が立っていた。

(続く)
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み