第5話

文字数 7,593文字

 次の日からもLネットには室井美咲からのメールはなかった。その代り、携帯の方に川原恵子からのメールが頻繁に来るようになった。内容は主にどんな勉強をしたかだった。「憲法概論Ⅰを復習しなおしました。」、「民事訴訟法Ⅱの課題を提出し終わりました。」。だぶん、僕の中退で「ペア」が組めなくなってしまった代わりに、携帯を通じて「ペア」になっているつもりなんだろう。
 最初の頃は、僕もいちいち「頑張ってね。」と返信していたが、だんだんめんどくさくなって一週間もしないうちにやめた。電話の方もまめに来るからだ。
「今日はね、クラスの○○さんと△△くんがすごい口論になって、私○○さんと隣の席だから、ものすごく気まずくなって・・・。」
「ふ~ん・・・、そうなんだ・・・。」
 夜、エアコンの効いた自室で彼女の話をいつまでも聞いた。学校にいた頃はすぐに帰宅してしまっていたのでわからなかったが、あのコミュニティーにも退屈しないだけの事件は起きているようだ。
 僕は携帯をいつもマナーモードにしていたので、電話に気がつかないことがちょくちょくあった。そんな時は、着信履歴を見て律儀に電話し直した。
 苗字―川原
 名前―恵子
 電話番号―090‐・・・
 メールアドレス―・・・・・・@softbank.ne.jp
 関係―友人。
 関係は友人のままでもいいだろうか・・・?デートをしたら付き合ったにカウントするなら、友人じゃおかしい。毎日メールをして、三日とおかず電話をしたら付き合ったにカウントするなら、やはり友人じゃおかしい。でも、「友人と呼ぶには違和感があるほど親しい間柄にあるが恋人というわけでもない異性の友人」とか「勉強のペアには実質的にはなれないけど精神的にそう思うことによって勉強の励みにされている異性の友人」という選択肢は、僕の携帯には組み込まれていない。だから、仕方なく関係は友人のままにしておいた。
 Lネットの方はなかなか変化がなかったが、二週間と数日過ぎた頃、ようやくメールがやってきた。

 差出人:室井美咲
 件名:遅くなってごめんね。
 本文:返事が遅くなっちゃってごめんね。いろいろバタバタしていたものだから。でも、おかげで携帯も新しくできたし、Lネットの使い方もクラスメートに教えてもらいました。それから、追試の方も何とかパスできました。たぶんぎりぎりだったんだと追うけど・・・。
 山本君の方はどう?就職活動はうまく行っている?いろいろ大変なことは多いと思うけど、へこたれず頑張るのよ!
 それから、時間があったらまた食事行かない?今度は二人っきりじゃなくて。実は会わせたい人がいるんだ(^_^)

 僕は携帯を手にとって、メールの最後に添えられていた彼女の新しい連絡先を登録した。
 苗字―室井
 名前―美咲
 電話番号―080‐・・・・・・
 メールアドレス―・・・・・・@ezweb.ne.jp
 関係―友人。
 関係は当然友人のままだ。川原恵子が友人なら、室井美咲がそれ以上ということはあり得ない。

 三十分前に約束の場所に付いた僕はさっきから気持ちがそわそわと落ち着かなかった。
 室井美咲が指定した場所は、八事のショッピングモールだった。ロースクールとは信号を挟んで目と鼻の先にある。元クラスメートがいつ現れてもおかしくない。僕が室井美咲と一緒にいるところを見たらどう思うだろう。特に、川原恵子が現れたら、どんな勘違いをされるかわかったものではない。いや待てよ・・・、メールの最後にあった「会わせたい人」というのは、まさか・・・。
 幸いにして、室井美咲が連れてきたのは小さな女の子だった。室井美咲に手をひかれた女の子は僕の姿を見ると、恥ずかしそうに後ろに隠れた。
「ほら、お兄さんよ。ご挨拶なさい。」
 そう言われても、女の子はなかなか姿を見せようとしない。
「ごめんね、山本君。ひなたは極度の人見知りなの・・・。」
「・・・。」
 室井美咲越しに小さな瞳と目が合った。まるで子猫や小犬のように小さくて丸いつぶらな瞳だった。
「あら、嫌だ。山本君も人見知りなの?お兄さんなんだから山本君から自己紹介してあげて。」
 室井美咲に笑われて、僕はようやく腰をおろし女の子に目線を合わせた。そして、怯えるように母親の足にしがみつく彼女にこう言った。
「こ、こんにちわ。初めまして、ひなたちゃん。僕は山本雄介です。よ、よろしくお願いします。」
 これに反応したのは室井美咲の方だった。彼女は道行く人が振り返るほど大きな声で笑い出した。
「何なの、そのガチガチな自己紹介は。就職面接じゃないんだから・・・。」
 言い終わるとまた大笑いが始まった。僕もそれにつられるように苦笑いをした。ただ、女の子だけはまだ、不安げなまなざしでこっちを見ていた。
 その後、僕たちはショッピングモールで食事をした。大学生や家族連れでにぎわう広いフードコートの一角に席を見つけると、子ども用のいすを持ってきてと頼まれた。だが、女の子はそれに座ろうとはせず、結局母親のひざの上におさまった。
「会わせたい人って、娘さんだったんですね?。」
 僕はラーメンをすすりながらそう聞いた。室井美咲の前には僕と同じラーメンどんぶりの他に、子供用の小さな受け皿が用意されていた。
「そうなの。普段は授業があるから名古屋までは連れて来れないけど、夏休みなら大丈夫でしょ。それにひなたも幼稚園がないから、ちょうどよかったのよ。」
 小皿にメンをよそうと、子どもは不慣れな箸さばきで食べ始めた。小さな口に吸い込まれたメンは、最後にぴしゃっと跳ねて、小さな頭に汁を付けた。
「そうなんですか・・・。それは貴重な水入らずの時間をすみません・・・。」
「ううん、とんでもない。むしろ、山本君がいてくれた方が助かるわ。」
「え、どうして?。」
「だって、旦那は当てにならないでしょ。これくらいの子ってまだまだ手がかかるから、一人だと大変なのよ。」
「・・・、それってつまり、僕にもひなたちゃんの面倒をみろと・・・?。」
「そうよ。山本君くらいの年齢なら、別に父親でもおかしくないわよ。一応、お兄ちゃんということにしておくけど。」
 当り前のようにそう言うと、彼女は自分の分を食べ始めた。そのひざの上の子どもは僕の目線を避けるように、母親の胸にしがみついた。
「でも、僕にそんなことできるでしょうか?僕には親類にさえ小さい子がいないので・・・。」
「大丈夫よ。こんなの誰だってできるわ。うちの旦那には無理だけど・・・。そうだ、さっそくひなたお願いしていい?私、お手洗い行きたくなっちゃった。」
「え・・・、それは・・・。」
 僕の返事を聞くことなく彼女は立ち上がると、子どもを僕に預けようとした。子どもは少し嫌がったが、「大丈夫。いい子にしてなさい。」の言葉に結局母親の手を離れた。小さな体が僕のひざの上にちょこんとおさまった。
「それじゃ、よろしくね。」
 室井美咲は奥へと消えていってしまった。
 残された僕はどうしていいかわからず、身体が固まってしまった。女の子の方も緊張しているのか、人形のようにじっとしている。
 時間の流れがゆっくりに感じた。フードコートにいる人たちが時々こっちを見ている。他人から見れば僕たちは親子だろうか?いや、こんなに硬くなっている親子は不自然だ。どちらかと言うと、誘拐犯に近いかもしれない。
 その時子供の肩が小刻みに震え始めた。
「ひなたちゃん?。」
 後頭部に話しかけた。だが、震えが収まることはない。
「ひなたちゃん?。」
「えーん、ママ―!!。」
 ついに泣き出してしまった。困った僕はとりあえず背中をさすってみたが、どうしようもない。子どもはますます大きな泣き声を上げた。
「だ、大丈夫だよ。ママはすぐに返ってくるから。そうだ、ラーメン食べよっか。お兄ちゃんが食べさせてあげるからね。」
 テーブルの向こう側の小皿を差し出したが、まるで効果がない。一体どうすればいいんだ。僕の方が泣きたい気分だ。
 ほとほと困り果てたところに、ようやく母親が返ってきた。
「あら、泣き虫さんね。」
 そう言うと室井美咲は僕のひざから子どもを抱きかかえた。子どもは力の限り母親に抱きついた。
「す、すみません・・・。やっぱり、僕に子守は無理そうです・・・。」
「そんなことはないわ。うちの旦那よりよっぽどさまになっているわ。でもね、こんな時にラーメンを見せても意味ないわ。お腹すいているわけじゃないんだもの。今度から、ラーメンじゃなくてこれを見せてみて。」
 そう言うと彼女はかばんに手を伸ばした。中から出てきたのは赤いリボンを付けた黄色いクマのぬいぐるみだった。
「これがひなたのラッキーベアだもんね~。ほら~。」
 目の前にかざすと、子どもはすぐに手を伸ばし自分の胸元まで手繰り寄せた。魔法にでもかかったように涙がすーっと引いて行った。
「へ~、今、それが子供の間では人気なんですか。」
「子どもだけじゃないのよ。ロースクールのみんなも持っている人多いのよ。」
「そうなんですか。それは全然知らなかった。今ブームなんですね。その・・・、何て言うんでしたっけ。」
「ラッキーベア。それぞれ誕生日に合わせてラッキーカラーがあるのよ。ひなたは七月生まれだから黄色のくまさんがラッキーベア。山本君は何月生まれ?。」
「僕も七月です。」
「あら、そうだったの。じゃあ、山本君のラッキーベアも黄色ね。ちなみに、首に付けているリボンはラッキーパースンのリボンなの。」
「ラッキーパースンって何ですか?。」
「早い話が恋人よね。ちなみに、ひなたのラッキーベアがつけているリボンは、元々は私のものなの。私は一月生まれだから、赤のラッキーベア。」
「つまり、既成品だと身体と同じ色のリボンを付けているってことですね?誰かと交換すると、違う色になるけど・・・。」
「そういうこと。だから、誰か好きな子にプレゼントするといいわよ。その子にその子のラッキーベアをプレゼントするの。そして、今度はその子が山本君に山本君のラッキーベアをプレゼントするの。お互いリボンを交換しあえば、ラッキーパースン同士になれるってわけ。ね、素敵でしょ?。」
「なるほど・・・。それはコンシューマーの購買意欲をかき立てる、よくできた経営戦略ですね・・・。」
 ラッキーベアを握る子どもは、安心したのか目がうつろになってきた。それを見て室井美咲は優しく頭をなでた。
「ところで、山本君、明日ひま?。」
「え、明日ですか?ええ、まあ、これといって特に用事は・・・。」
「よかった。じゃあ、明日一日水族館に付き合ってよ。」
「水族館って、ひなたちゃんも含め三人でですか?。」
「そう。夏休みなのにどこにも連れて行ってあげてなかったから。でも、さっきも言ったように、私一人だと何かと大変なのよ。」
「でも、僕はやっぱり子守には向きませんよ。また泣かせてしまったら、今度こそ・・・。」
「気にしないで。子どもは泣くものなんだから。それに今度は大丈夫よ。だって、対処法を教えたんだから。」
「ラッキーベアですか・・・?。」
 僕の答えに彼女はにっこり笑った。ひざの上の子どもはいつの間にか眠っていた。手の中のくまさんが優しく彼女を見守っていた。

 夏休みの名古屋港水族館は、朝から多くの家族連れやカップルでにぎわっていた。
 カップルというより家族連れに近い形の僕たちも、多くの人ごみにまぎれながら順路に沿って一つ一つ水槽を見学していった。まだ生まれたばかりの子どもと泳ぐベルーガ(シロイルカ)のつがい、何万という群れが均一に泳ぎ回るマイワシの水槽、巨大なエイが頭上を飛ぶ海底トンネル。名古屋に生まれ育ちながら初めてここに来る僕にはどれもがそれなりに興味深いものだったが、子どもの感性は大人とはちょっと違うようだった。室井美咲に抱えられたひなたちゃんはさっきからずっと手に持ったラッキーベアを見つめていた。
「ほら、せっかく楽しみにしてた水族館に来たのに台無しよ。ほら、あそこ、あれ何かな~。サメさんだよ~。ひなたを食べに来たのかな~?。」
 エイに変わって頭上に現れた小型のサメを指さしてみても、ひなたちゃんは見ようとしない。困った彼女は僕に助けを求めてきた。
「え、僕がこの子の興味をさかなに向けるんですか?室井さんでもできないことをどうして僕が・・・。」
「いいからやってみて。だって、さかなのことは山本君の方が詳しいでしょ。」
「まあ、多少は調べてきましたが・・・。」
 僕は腰を少しかがめて、ひなたちゃんの顔をのぞきこんだ。そっぽを向かれそうになったが、ぎりぎりのところで僕を見てくれた。
「名古屋港水族館には昔、シャチがいたんだ。シャチは大型の水生哺乳類で、肉食で・・・つまり植物じゃなくて動物を食糧としているんだけど、野生のシャチはイルカを食べることもあるんだ。でも、ここのシャチはそのイルカと一緒にショーをやるからとても話題になっていたんだ。でも、数年前そのシャチは惜しまれながら死んでしまって・・・。」
「何なの、それ?そんな堅い話し子供がおもしろがるわけないでしょ。」
「でも、愛されていたそのシャチは今でも水族館のシンボルで、別の形でみんなを楽しませているんだ。ほら、見てごらん・・・。」
 海底トンネルを抜けたところに現れたほぼ等身大のシャチのレプリカを指さした。なかなか首を動かそうとしないひなたちゃんに「ほら、ほら。」としつこく指さして、ようやく振り向いてもらった。きばまで再現されたリアルなレプリカは子どもにはまずかったかなと持ったが、ひなたちゃんは意外にも少し笑ってこう言った。
「あ、パンダさん。」
「なかなかやるじゃない。」
 ひなたちゃん以上に喜んだのは室井美咲だった。大きな仕事を一つ成し遂げた僕はほっと肩をなでおろした。
 それをきっかけに少しずつひなたちゃんの表情が豊かになっていった。それにともない僕の興味も徐々に水槽からひなたちゃんの反応に移っていった。野外ステージでは夏の空に高く飛ぶイルカを、しぶきがかかるのもお構いなく見いっていた。また、ペンギンの餌付けでは「ひなたもやってみたい。」と水槽ぎりぎりまで顔を近づけていた。
 中でも、一番興奮していたのが、意外にもミドリガメだった。
「ほら、触ると頭を引っ込めるよ~。」
 体験コーナー(手で触れることができるコーナー)でミドリガメをつついて見せると、「ひなたもやる~。」と僕にせがんで来た。彼女の身長では水槽の中に手が届かない。僕はどうしようか少し迷った。
「ほら、せっかくなついてきたんだから、抱っこしてあげて。」
 室井美咲に促されて、ようやく両脇を抱えた。子どもを抱っこするのは初めてだったが、その身体は驚くほど軽く、すんなりと僕の胸の中におさまった。昨日はひざの上で固まっていた小さな身体は、今日はそこから飛び出さんばかりの勢いだった。
「すごーい、カメさんの首が引っ込んだ!。」
 ひなたちゃんは引っ込んでは出てくるカメの首を面白がって何度でも触った。
「こら、ひなた。そんなに触ったらカメさんがかわいそうよ。」
 僕らは顔を見合わせて大笑いした。ひなたちゃんはそれでも飽きずにカメの頭を触り続けた。

「でも、本当に良かった。まさか、ひなたかここまで山本君になついてくれるとは・・・。父親にさえなついてくれない子だからね。」
 帰りの地下鉄の中で、室井美咲が話し始めた。
「やっぱり、子どもにとっては男親も必要だと思うの。だから、山本君のような人がいてくれて、ほんと助かるわ。」
「でも、本当にこれでよかったんでしょうか。」
 僕は自分の腕の中のひなたちゃんを見た。一日はしゃいで疲れたのか、ぐっすりと眠っていて人形のように動かない。
「確かに、僕にとっても楽しい経験でしたし、ひなたちゃんにしても心を許せる大人が一人でも多くできた方が、今後の成長にとってプラスでしょう。でも、僕は本物の父親にはなれないわけだし、中途半端な代役がいるんじゃ、返って実の父親との関係が構築しにくくなるような気がしますが・・・。」
「彼のことならもういいの・・・。あのね、実はもう進めてるんだ、離婚の話を。順調に話し合いが進めば、秋口には正式に決まると思う・・・。」
「そうだったんですか・・・。この間の話しぶりでは、そんなところまで行っているとは思わなかったものですから。それは、その・・・、すみません。」
「別に謝ることじゃないのよ。・・・かと言って、おめでとうございますでも変だけど。・・・でも、これでようやくリセットしてやり直せるって感じよね。これまでたまってきたいらないものを捨てて、ようやく本当の幸せをつかむために人生をやり直すの。ねえ、そう思うと素敵じゃない。」
「そうですね。やっぱり室井さんはポジティブな人ですね。」
 そう言いながら、僕は再び腕の中のひなたちゃんを見た。無邪気に眠るその横顔はきっと両親の離婚のことをまだ知らされていないのだろう。もっとも、仮に話しをされたとしても、離婚の本当の意味を知るにはまだ何年もかかるだろうが。
「でも、何もかも捨ててと言っても、ひなたちゃんはいますよ。きっと、ひなたちゃんはいつまでも室井さんの味方でいてくれますよ。」
「そうね。確かに、ひなたは私の宝物だわ。絶対に大事に育てなきゃならないと思っている。・・・でもね・・・。」
 室井美咲は話を途中でやめたまま黙ってしまった。どうしたのだろうと彼女の方を見ると、小声でこんなことを言った。
「でもね、時々この子がいなかったらどんなに楽だろうって思うこともあるのよ。」
「何ですって?。」
 思わず出た大きな声にひなたちゃんを起こしてしまったかと思った。だが、ひなたちゃんはあくびをしただけで、そのまままた眠ってしまった。
「あのね、子どもっていつでも聞きわけがいいわけじゃないでしょ。」
 室井美咲はさらに耳元でつづけた。
「それに、もうこの子の父親には情がないわけだし、どうして自分ばかり苦労しなきゃならないのかって思うことがあるのよ。私の母は離婚した後、私にすごく厳しく当たったって話したことあるでしょ。あの時の母の気持ちがわからなくもないのよね。」
 話し終わるとまたもとの位置に戻った。僕はまっすぐ前を向いたままで、暗い窓に映る自分の顔ばかり見ていた。
「それは、すみません・・・。子育ての苦労も知らないで、軽々しくこんなことを言ってしまって・・・。」
「いいのよ、そんなこと。私の方こそごめんね、こんな暗い話しをしてしまって・・・。あ、金山に着いたみたい。ここで乗り換えだから降りるね。」
 ひなたちゃんを母親に返したが、彼女は眠ったままだった。子どもの寝顔が天使なら、このままずっと目が覚めなければいいのにと思った。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み