第10話 キモオタの祈り
文字数 677文字
暑い。気持ちが悪い。目覚めから体調は最悪だ。この頃の日差しは強すぎる。
体温が高いのは、気温のせいだけではない。吐き気を催す夢を見た。ああ、少し違う。その夢自体は幸せなのだ。その幸せさゆえにそれが夢であったということに吐き気を催す。
ふと口元に手をやる。ちくり。ましになったとはいえ、全然毛深さを克服できていないということを僕に思い出させてくれる痛み。
心の痛み。
こんなふうにある意味、詩的なセンチメンタルな気持ちに落ちることすら僕の自己肯定感の低さが許さない。キモオタの僕にそんな資格はない。ましてや…。
これだからダメなのだろう。
鏡をみる。やっぱりちょっとは良くなっている。僕は進化している。でも一番大事なところは変わらない。僕の目は濁っている。
別に死にたいとかそう思っているわけではない。うっすらとかかった自己否定や鬱な気持ちが僕の神経をさわさわと刺激して叫び出したい気持ちなのだ。数か月前はもっと希望を持っていた。そこから僕の状況が劇的に悪くなったわけではない。むしろそっちの方が良かったのかもしれない。何も、起きなかった。ただそれだけ。キモオタは楽観視なんてできないから。勝手に自分から暗い方向へ進んでいく。
絶望はしていない。いつも、ずっと、救いを求めている。
その日も淡々と学校生活をこなした。入学当初よりははるかに充実している。だから何とか過ごしている。かといってプラスの感情を抱いて帰宅するなんてことはないのだが。
やや暗い感情でまた帰路についた。
道中、僕は一瞬硬直し、すかさずスマホを用意して隠し撮りした。
”あいつ”と知らない女子が抱き合っていた。
体温が高いのは、気温のせいだけではない。吐き気を催す夢を見た。ああ、少し違う。その夢自体は幸せなのだ。その幸せさゆえにそれが夢であったということに吐き気を催す。
ふと口元に手をやる。ちくり。ましになったとはいえ、全然毛深さを克服できていないということを僕に思い出させてくれる痛み。
心の痛み。
こんなふうにある意味、詩的なセンチメンタルな気持ちに落ちることすら僕の自己肯定感の低さが許さない。キモオタの僕にそんな資格はない。ましてや…。
これだからダメなのだろう。
鏡をみる。やっぱりちょっとは良くなっている。僕は進化している。でも一番大事なところは変わらない。僕の目は濁っている。
別に死にたいとかそう思っているわけではない。うっすらとかかった自己否定や鬱な気持ちが僕の神経をさわさわと刺激して叫び出したい気持ちなのだ。数か月前はもっと希望を持っていた。そこから僕の状況が劇的に悪くなったわけではない。むしろそっちの方が良かったのかもしれない。何も、起きなかった。ただそれだけ。キモオタは楽観視なんてできないから。勝手に自分から暗い方向へ進んでいく。
絶望はしていない。いつも、ずっと、救いを求めている。
その日も淡々と学校生活をこなした。入学当初よりははるかに充実している。だから何とか過ごしている。かといってプラスの感情を抱いて帰宅するなんてことはないのだが。
やや暗い感情でまた帰路についた。
道中、僕は一瞬硬直し、すかさずスマホを用意して隠し撮りした。
”あいつ”と知らない女子が抱き合っていた。