第７話 直人を信じる？
文字数 1,850文字
「ず、ずっとここにいたわよ。」
るなちゃんが慌てて言葉を発した。でもそれは、嘘にしか聞こえない。わたしはるなちゃんの手を強く握る。ばれた……？この魔法って他の人にばれちゃいけないのかな？でも、もうるなちゃんにもばれてるし……。色んなことが頭を巡る中、とにかく考えた。ばれちゃいけないっていうか、広めてほしくない……かも。直人ならきっと大丈夫なはず。きっと大丈夫大丈夫。
「う、嘘つくな。俺はさっきまでここにいたんだ。ほんの数秒廊下にいただけだ。なのに、何でここにいるんだ……。」
疑いと困惑と色んな感情が混じった目で見つめられて、息ができない。
「花梨ちゃん。」
消え入りそうな声でるなちゃんが言う。るなちゃんは私に耳を近づけてささやいた。
「直人になら言ってもいいんじゃない？」
私もるなちゃんの耳に顔を近づける。
「直人を……し、信じる？」
さっき自分に言い聞かせてたけど、正直怖かった。るなちゃんはついさっき直人に狙われてた。るなちゃんはすごく驚いたはず。信じていいのかな？
「信じる！！」
るなちゃんは私の目をしっかりと見つめる。疑いのない瞳に私はしっかり頷いた。るなちゃんが信じると言うなら、私だって信じる！
「な、直人！」
初めて私が言葉を発して、直人は驚いたように視線を動かした。
「話すことがあるの。落ち着いて聞いてほしい。」
直人がすっと息を吸い込む。ふぅと吐き出すと私と目を合わせた。
「私から話そうか？」
るなちゃんが心配して声をかけてくれる。でも大丈夫。直人になら話せる。私は首を横に振る。
「大丈夫。私のことだもん。自分でしっかり話さなきゃ。」
私は直人と目を合わせた。
「私には、私たちには秘密があるの。」
「ひ、秘密……。」
「私は……魔法使い……なの。」
「ま、魔法使い？」
直人が拍子抜けしたような声を出した。真剣な表情が崩れて一気にバカにしたように笑った。
「お前が……魔法使い？魔法使いなんて……。」
直人の笑い声が三人きりの教室に響く。しばらく笑い続け、ようやく笑いを抑えた直人は、まだ目に涙を浮かべながら聞いてきた。
「魔法使……まほ……魔法使いなんて……そんなの……そん……存在しないだろ！！」
直人は何度も笑いに負けて言葉を詰まらせる。
「花梨ちゃん！！！見せてやって！！」
さっきまでとは打って変わって、るなちゃんの目は怒りに燃えていた。
「え……見せてやるって何を……？」
「魔法に決まってるでしょ！そうね……直人を地面から30cm浮かせて、そこから一気に手を離すって言うのはどう？」
「え……。」
るなちゃん！落ち着いて！めらめらと燃える瞳を何とか抑えようとしていると、何と直人がこんなことを言い出したの！！
「何だよ、出来るならやってみろよ！」
「は？出来るもんね！！花梨ちゃん早く！！」
ど、どうしよう！！そんな怖いことできないよ～！私が何も出来ずおろおろしていたその時だった。目に強い光が入ってきたんだ。はっとして目を向ければそれは私が持ってる本からだった。すぐに本を自分の胸に抱える。直人を浮かせて優しく下ろせばいいんだ。自分の中で結論付いた私は、本に向かって心の中で語りかけた。そしてそっと視線で直人をとらえる。その瞬間、直人は宙に浮き出した。
「わっ！！」
「さすが花梨ちゃん！」
「お、下ろしてくれーー！」
私はそっと本に語りかける。直人は地面にゆっくり下ろさせた。
「こ、こ、怖かった……。」
小さく呟く直人に私は歩み寄った。肩に手をおこうとすると、恐怖に怯えた目で直人は体をねじった。避けられた。直人に避けられるのが何故か妙にショックだった。
「直人！もう何もしないわよ。だから避けないであげて。」
るなちゃんはすぐに私をフォローしてくれ、私の手をとる。そのまま何も言わずに微笑んでくれた。その笑顔にちょっと安心した。るなちゃんの笑顔はすごい！
「直人。さっきはごめんね。でも本当だって分かって欲しくて。」
私は直人をしっかり見つめた。ごめんって気持ちを込めて。直人はまだ信じきれないと言う顔で私を見つめた後、はぁ、と小さくため息をついた。そしてもう一度私を見つめた顔は……笑顔だった。何か少し挑戦的でかっこいい笑い方だった。
「このこと、誰かに言っちゃいけない感じ？」
直人がそっと様子を伺うように見つめてくる。
「出来れば……その……言わないでほしいなって。」
私の消え入りそうな声に直人はもう一度笑いかけてくれた。
「大丈夫！俺を信じろ！！」
ちょっとだけ胸が弾むような、ドキドキしたって感じのよく分からない感情が押し寄せてきた。
るなちゃんが慌てて言葉を発した。でもそれは、嘘にしか聞こえない。わたしはるなちゃんの手を強く握る。ばれた……？この魔法って他の人にばれちゃいけないのかな？でも、もうるなちゃんにもばれてるし……。色んなことが頭を巡る中、とにかく考えた。ばれちゃいけないっていうか、広めてほしくない……かも。直人ならきっと大丈夫なはず。きっと大丈夫大丈夫。
「う、嘘つくな。俺はさっきまでここにいたんだ。ほんの数秒廊下にいただけだ。なのに、何でここにいるんだ……。」
疑いと困惑と色んな感情が混じった目で見つめられて、息ができない。
「花梨ちゃん。」
消え入りそうな声でるなちゃんが言う。るなちゃんは私に耳を近づけてささやいた。
「直人になら言ってもいいんじゃない？」
私もるなちゃんの耳に顔を近づける。
「直人を……し、信じる？」
さっき自分に言い聞かせてたけど、正直怖かった。るなちゃんはついさっき直人に狙われてた。るなちゃんはすごく驚いたはず。信じていいのかな？
「信じる！！」
るなちゃんは私の目をしっかりと見つめる。疑いのない瞳に私はしっかり頷いた。るなちゃんが信じると言うなら、私だって信じる！
「な、直人！」
初めて私が言葉を発して、直人は驚いたように視線を動かした。
「話すことがあるの。落ち着いて聞いてほしい。」
直人がすっと息を吸い込む。ふぅと吐き出すと私と目を合わせた。
「私から話そうか？」
るなちゃんが心配して声をかけてくれる。でも大丈夫。直人になら話せる。私は首を横に振る。
「大丈夫。私のことだもん。自分でしっかり話さなきゃ。」
私は直人と目を合わせた。
「私には、私たちには秘密があるの。」
「ひ、秘密……。」
「私は……魔法使い……なの。」
「ま、魔法使い？」
直人が拍子抜けしたような声を出した。真剣な表情が崩れて一気にバカにしたように笑った。
「お前が……魔法使い？魔法使いなんて……。」
直人の笑い声が三人きりの教室に響く。しばらく笑い続け、ようやく笑いを抑えた直人は、まだ目に涙を浮かべながら聞いてきた。
「魔法使……まほ……魔法使いなんて……そんなの……そん……存在しないだろ！！」
直人は何度も笑いに負けて言葉を詰まらせる。
「花梨ちゃん！！！見せてやって！！」
さっきまでとは打って変わって、るなちゃんの目は怒りに燃えていた。
「え……見せてやるって何を……？」
「魔法に決まってるでしょ！そうね……直人を地面から30cm浮かせて、そこから一気に手を離すって言うのはどう？」
「え……。」
るなちゃん！落ち着いて！めらめらと燃える瞳を何とか抑えようとしていると、何と直人がこんなことを言い出したの！！
「何だよ、出来るならやってみろよ！」
「は？出来るもんね！！花梨ちゃん早く！！」
ど、どうしよう！！そんな怖いことできないよ～！私が何も出来ずおろおろしていたその時だった。目に強い光が入ってきたんだ。はっとして目を向ければそれは私が持ってる本からだった。すぐに本を自分の胸に抱える。直人を浮かせて優しく下ろせばいいんだ。自分の中で結論付いた私は、本に向かって心の中で語りかけた。そしてそっと視線で直人をとらえる。その瞬間、直人は宙に浮き出した。
「わっ！！」
「さすが花梨ちゃん！」
「お、下ろしてくれーー！」
私はそっと本に語りかける。直人は地面にゆっくり下ろさせた。
「こ、こ、怖かった……。」
小さく呟く直人に私は歩み寄った。肩に手をおこうとすると、恐怖に怯えた目で直人は体をねじった。避けられた。直人に避けられるのが何故か妙にショックだった。
「直人！もう何もしないわよ。だから避けないであげて。」
るなちゃんはすぐに私をフォローしてくれ、私の手をとる。そのまま何も言わずに微笑んでくれた。その笑顔にちょっと安心した。るなちゃんの笑顔はすごい！
「直人。さっきはごめんね。でも本当だって分かって欲しくて。」
私は直人をしっかり見つめた。ごめんって気持ちを込めて。直人はまだ信じきれないと言う顔で私を見つめた後、はぁ、と小さくため息をついた。そしてもう一度私を見つめた顔は……笑顔だった。何か少し挑戦的でかっこいい笑い方だった。
「このこと、誰かに言っちゃいけない感じ？」
直人がそっと様子を伺うように見つめてくる。
「出来れば……その……言わないでほしいなって。」
私の消え入りそうな声に直人はもう一度笑いかけてくれた。
「大丈夫！俺を信じろ！！」
ちょっとだけ胸が弾むような、ドキドキしたって感じのよく分からない感情が押し寄せてきた。
