第1話 挨拶委員会

文字数 983文字

私には秘密がある。
私は魔法使いだ。

「おはようございます。」
高校にも挨拶委員会があるとは……なんて最初思ったな~。初登校の日。緊張しながら門を潜ったら、上級生の人たちが元気に挨拶。もう、ほんとびっくり。けどもう高2。最初の方は挨拶返してたけど、今は返さないどころじゃなく、みんな完全に無視。私はちゃんと挨拶する。挨拶って大事じゃん?
「あ、おはよう。花梨ちゃん。」
「おはよー。朝からいつもお疲れ様。」
挨拶委員会の中にいたるなちゃんが声をかけてくれる。
「ありがと!あ、昨日のドラマ見た?」
「見た見た!教室で待ってるから、仕事終わったら来て!」
「りょーかい!じゃね。」
いつも真面目なるなちゃんだけど、ドラマのことになると別。っていうか、恋愛ドラマ、恋愛漫画、恋愛リアリティーショーなどなどの恋愛ものが大好き!昨日のドラマもめっちゃキュンキュンしたし、早くるなちゃんと話したいなー。そんなことを思いながらクラスに入る。
「おは……。」
「おはよっ☆」
私の声を書き消すように声が聞こえる。振り向くとそこには星ちゃんがいた。
「おはよう!」
「おはよっ!その髪ゴム初めてつけてきたよね?可愛い!」
グループの子達が走りよってきて、私は半分押し出されるようにして廊下に出る。
「あ、ごめん。挨拶中だった?」
星ちゃんが聞いてきた。くるくるした大きな目が可愛い!ふわふわに巻かれた髪の毛はつやつや。このクラスで一番可愛くて仲間が多いのに、私みたいな陰キャの私にも優しい!学校一の人気者!
「大丈夫。星ちゃんおはよう。」
「うん、おはよう。」
星ちゃんは皆に囲まれながら席につき、楽しそうに話す。
「花梨ちゃん?こんなところで立ち止まって何してるの?」
「るなちゃん!」
ドアのところで立ち止まっていた私の後ろに、いつの間にかるなちゃんがいた。
「もうお仕事終わったの?」
「うん、時間みてよ。もう朝の会始まるよ。」
「やば!準備してないんだけど!」
私はあわてて席につき、荷物を片付け始める。
「もー。何やってるの~!」
口ではそう言いながらも、るなちゃんも片付けを手伝ってくれる。その時、星ちゃんの方から大きな笑い声が聞こえてきた。るなちゃんが星ちゃんを見て、少しだけ視線を強くする。
「るなちゃんってさ、可愛いよね。」
「え、うん。いきなりどうしたの?」
るなちゃんの言葉は誉め言葉のはずなのに、何だか刺のある言い方だった。
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登場人物紹介

白浜花梨

クラスでは目立たないポジ。図書委員で本が大好き。

谷口るな

花梨の友達で、挨拶委員会。しっかり者の頼れる存在!

東山星

学校中の人気者。可愛くて優しい!

吉田直人

スポーツ万能だか、勉強はあんまり。元気でうるさいポジ。

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