第6話 引いてみろ

文字数 589文字

「今日こそ落とす!!」
今日は菊川さえとの映画館デート。今日こそ絶対に落としてやる!この間仲間と話してからも、何度かデートを重ねているのに、何だか俺の方が上手くいかない感じがするんだ。
「お待たせしました。いつもお早いですね。」
「いつも楽しみなんだよ笑。」
これも何だかお馴染みのセリフになってきちゃったな~。今日はいつもとは違う感じでドキドキさせて落とすぞ~!あれを実行するか……。
「さえさんはそんなに楽しみじゃない?」
「え?楽しみですよ?」
「ふ~ん。」
押してダメなら引いてみろ作戦!自分から聞いといた癖に、「ふ~ん。」って!大きめに引いたけど、このさえは鈍感で中々気づかないから、ちょっと大げさぐらいがちょうどいいんだ。
「中入ろっか。」
「はい。」
いつもは振りまくる話題も、今日はそこそこに。さえも何か考えてる様子だったし、会話は全然進まなかった。チケットとポップコーンを買い、一旦さえに預けてトイレに行く。
「持っててくれてありがとう。」
「いえ……あの!」
「ん?」
さえが素早くポップコーンをイスに起き、立ち上がった。俺の手を掴んで離さない。え?いきなりどうした?でも、さえはそれ以上何も喋らない。
「えっと……どした?」
「あ、えっと……。」
さえは頬を赤らめる。何その表情……。
「手……繋ぎたくなっちゃって……。」
いつもはクールな女の子が見せる照れたような表情に言葉……可愛すぎるだろ。
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登場人物紹介

菊川さえ

トールトのスパイ。竹下翔を殺すよう命令される。

完璧主義で、何でもできる。恋愛に興味が無い。

竹下翔

詐欺師。菊川さえを騙そうとする。

明るい性格で、誰とでも仲良くできる。

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