第12話(最終話) キス
文字数 1,050文字
緊張しかしない。なぜかって?今日が人生最大の日だからだ。
自らの正体を明かしてからもう5年になる。何度も喧嘩して、その倍以上のキスを交わし、俺達は二人で歩んできた。
「さえ、ちょっといい?」
さえの控え室のドアをノックしながら、返事を待つ。
「うん。」
声とほとんど同時にドアを開けた。目の前には、純白のウエディングドレスに身を包んださえ。
「ドレスもメイクも似合ってるよ。」
可愛すぎる……けど、控え室にはさえのお母様もいるわけだし、控えめに誉めておく。
「本当?ありがとう。モテテクだったら許さないよ。」
ちょっといじわるな笑みを浮かべて、さえがそんな事を言い出す。か、か、可愛い……。
「本当だって!!だってもうモテテクとか使う必要ないから。」
あんな技術もういらない。俺は俺の心のままにさえを愛せる。俺達はあれから、裏の仕事を辞め、足を洗った。だから、もう俺達を縛り付けるものは何もない。
「翔もそのスーツ似合ってるよ。かっこいい。」
「さえがそんなことを言ってくれるなんて珍しいじゃん。照れるわ~。」
それだけでも可愛いのに……
「いつも思ってるよ。言わないだけ。」
「ふーん。怪し。」
何だよそれ!可愛すぎるだろーーー!
「ほんとほんと、ってことだからまた後でね。ばいばーい。」
もしかして照れちゃったのか?さえが俺を部屋から無理矢理追い出した。にしても、可愛すぎるだろ。いつかのデートで買ったお揃いのキーホルダーを、こっそりポケットに入れてるなんて知ったら、さえはもっと可愛い反応するかな?何て考えながら、準備準備!
「では新婦のご登場です。皆様大きな拍手でお迎えください!」
普通の式より人数は少ない。一応俺達は警察に見つかっちゃダメな立場だしな。でも、家族を始め信頼できる友人は招待している。俺とさえの恋のキューピットである、あいつももちろん呼んでいる。
「新郎竹下翔あなたはここにいる菊川さえを
病める時も 健やかなる時も
富める時も 貧しき時も
妻として愛し 敬い 慈しむ事を誓いますか?」
「誓います。」
「新婦菊川さえあなたはここにいる竹川翔を
病める時も 健やかなる時も
富める時も 貧しき時も
夫として愛し 敬い 慈しむ事を誓いますか?」
「誓います。」
さえの細い指に指輪をはめ、さえも俺に指輪をはめてくれる。
「それでは誓いのキスを」
壊れてしまいそうなぐらい、ふわふわのペールを持ち上げる。そのまま何百回もしてきたキスを落とす。緊張も一瞬で溶かしてしまうような甘いキス。
花の眠りが覚める季節。穏やかな太陽に照らされ、俺達は結ばれた。
自らの正体を明かしてからもう5年になる。何度も喧嘩して、その倍以上のキスを交わし、俺達は二人で歩んできた。
「さえ、ちょっといい?」
さえの控え室のドアをノックしながら、返事を待つ。
「うん。」
声とほとんど同時にドアを開けた。目の前には、純白のウエディングドレスに身を包んださえ。
「ドレスもメイクも似合ってるよ。」
可愛すぎる……けど、控え室にはさえのお母様もいるわけだし、控えめに誉めておく。
「本当?ありがとう。モテテクだったら許さないよ。」
ちょっといじわるな笑みを浮かべて、さえがそんな事を言い出す。か、か、可愛い……。
「本当だって!!だってもうモテテクとか使う必要ないから。」
あんな技術もういらない。俺は俺の心のままにさえを愛せる。俺達はあれから、裏の仕事を辞め、足を洗った。だから、もう俺達を縛り付けるものは何もない。
「翔もそのスーツ似合ってるよ。かっこいい。」
「さえがそんなことを言ってくれるなんて珍しいじゃん。照れるわ~。」
それだけでも可愛いのに……
「いつも思ってるよ。言わないだけ。」
「ふーん。怪し。」
何だよそれ!可愛すぎるだろーーー!
「ほんとほんと、ってことだからまた後でね。ばいばーい。」
もしかして照れちゃったのか?さえが俺を部屋から無理矢理追い出した。にしても、可愛すぎるだろ。いつかのデートで買ったお揃いのキーホルダーを、こっそりポケットに入れてるなんて知ったら、さえはもっと可愛い反応するかな?何て考えながら、準備準備!
「では新婦のご登場です。皆様大きな拍手でお迎えください!」
普通の式より人数は少ない。一応俺達は警察に見つかっちゃダメな立場だしな。でも、家族を始め信頼できる友人は招待している。俺とさえの恋のキューピットである、あいつももちろん呼んでいる。
「新郎竹下翔あなたはここにいる菊川さえを
病める時も 健やかなる時も
富める時も 貧しき時も
妻として愛し 敬い 慈しむ事を誓いますか?」
「誓います。」
「新婦菊川さえあなたはここにいる竹川翔を
病める時も 健やかなる時も
富める時も 貧しき時も
夫として愛し 敬い 慈しむ事を誓いますか?」
「誓います。」
さえの細い指に指輪をはめ、さえも俺に指輪をはめてくれる。
「それでは誓いのキスを」
壊れてしまいそうなぐらい、ふわふわのペールを持ち上げる。そのまま何百回もしてきたキスを落とす。緊張も一瞬で溶かしてしまうような甘いキス。
花の眠りが覚める季節。穏やかな太陽に照らされ、俺達は結ばれた。