第7話 ホラー映画

文字数 759文字

「さえさんはホラー好きなの?」
シアターに入りながら尋ねる。レディーファーストの想いを込めて、「何でもいいよ。」とか言ったら、何かホラーになってしまった……。あぁ!ポスターを見るだけで怖いんだよ!
「はい、よく見に来ますね。」
俺は
「楽しみだね、」
一ミリも
「はい!」
楽しみじゃない!!!!

「ひぃっ!」
怖い怖いこわ~い!!!!何なんださっきから!人の頭飛びすぎだろ!ちょっと待ってよ、何そのナイフ……ギザギザしてて、でかくて……あ、あ!
「きゃっ。」
「ぎゃー」
もうダメだ!死んじゃうよ!俺には無理だよ~!もっとラブコメ的なやつでキュンキュンしたかったのにーー!!ん?何か靴にあたった?怖くて足ジタバタさせてたら、何か当たった気がする。ってか、蹴った気がする。
「ん?どうした?」
「なにも無いです。ただ驚いただけです。」
さえが何か変な動きしたみたいだけど……?まあ、こんだけ叫んでるとは言え、私語は慎むってか~。なんてこと考えてる暇無かった。俺がスクリーンに目を戻した瞬間、スクリーンの中で人の首が……。

「怖かったねー。」
「まあ、そうですね。」
その冷静な感じ。俺と同じで怖いの隠してる?それとも、ほんとに怖いの大丈夫な感じ?いや、でも?俺が必死に叫んでる横で、さえも叫んでたし?いい感じに可愛かったんじゃないんですか?
「どっか下の階見て回るー?」
「良いですね。」
気を取り直して!お揃いの物でも買って、思い出にするか!さえが紫の、俺が青のキーホルダーを買う。次会うときは無邪気にこれつけてきて、アピールするか。

「そろそろ帰ろうか。」
「そうですね。では今日は少し寄るところがあるので一人で帰ります。今日も楽しかったですよ。さようなら。」
「バイバイ~」
さらっと楽しかったとか……可愛いこと言うじゃん!べ!別に……可愛いってだけだから、な?
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登場人物紹介

菊川さえ

トールトのスパイ。竹下翔を殺すよう命令される。

完璧主義で、何でもできる。恋愛に興味が無い。

竹下翔

詐欺師。菊川さえを騙そうとする。

明るい性格で、誰とでも仲良くできる。

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