(二)

文字数 209文字

 鍋に食材を半分ほど入れてから火を強くすると、謙吉と渋沢はビールをすすりつつ液晶の画面を見ながらその音声を聞いていた。
 二〇〇〇年頃に流行したアイドルグループのノリのいい曲を歌っていた女性は、途中で鳴った一回の鐘の音で歌を中断し、お辞儀をしてから画面の外へと走り去っていった。
「けっこういい線言っていたと思うが、ダメなのか」
 渋沢がそう感想を言った。
「素人っぽさが抜けてないからじゃないですか」
 謙吉が応えた。

(続く)
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