(四)-2

文字数 229文字

 アナウンサーが若い男性をそう紹介すると、すぐに画面が切り替わり、文字が表示された。そこには「老人は集団自決するべきだ」と書かれていた。
 謙吉はぼんやりと画面を見ていたが、その文字を見て「なあにが集団自決だ。俺たちを何だと思っているんだ」と呂律(ろれつ)の回らない口調で言った。
「なんなんだこいつは。俺たちに死ねっていうのかよ」
 そう言いながら、渋沢は鍋から水分を含んで緩くなったご飯を小皿に移し謙吉の前に置いた。そして自分の小皿も持ち上げておじやをよそった。

(続く)
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