(四)

文字数 265文字

 赤ら顔の渋沢が木製のしゃもじで鍋の中をかき混ぜているとき、謙吉は飲み過ぎで頭が朦朧(もうろう)としていた。
 こたつの上には既に空になったビールのロング缶が八本並んでいた。
 そして渋沢がガスコンロのつまみを回して火を消したところで、液晶には狛江恵麻子という若い女性アナウンサーと、とっくり首のセーターを着た鶴川翔太郎という若い男性が映っていた。
「鶴川さんはアメリカのコネチカット大学の方で教壇に立たれていらっしゃいます。さて、今日はあるインターネット番組でされた社会福祉政策の件の発言についてお伺いしたいと思います。それがこちらです」

(続く)
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