第1話

文字数 659文字

「この世界は不条理だ」

なんて、言ってみたかっただけだ。かっこつけてさ、それらしくね、聞こえるでしょ。多分そう。








むか〜し、むか〜しあるところに


「あるところってなんだ?」

場所なのか?空間なのか?国なのか?
一体どこなんだ?そもそも曖昧過ぎる。

そんなことなんてどうでも良いのに気になってしまう
どこが大事なのかがわからないんじゃない
ただ、何がそんなに気になるのか?それさえわからない。



中学に進学して、算数が数学に名前が変わった。

算数とは数字を数えること
数学とは数字を学ぶということか?

なのに、なぜかXやY、ABCなんていうアルファベットが堂々と数式として連なっている。
なぜだ?数字じゃないのに。
方程式の中に堂々と鎮座しているそれらをまとめて文字式というらしい・・・。



だから、算数から名前が進化したのか?
いや、別に理由があるのか?



大人になった私には、どうでも良いことなのに
時々思い出す。


あれは、x、yで、なんで定数がabcで、アルファベトをの並びを無視して付けられているのか?






どうでもいい話だ。
だけど、今でも無性に思い出す。



「どっちでも良いんだよ。
なんなら、すいかでもみかんでもりんごでも何でも・・・」

その彼女の声は軽やかで楽しそうに魔術のような方程式をスラスラと解いていた。







あれから何年も経ったのに
私は、まだxとyとabcに囚われている。


頭の中で踊り出すんだ。アルファベットが・・・
真っ白の空間に数字とアルファベットが織りなす世界。



数学も算数もごちゃごちゃになってわからなくなる。
この世界がぐちゃぐちゃになって崩れていくように。








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