第18話

文字数 1,293文字

「こんなところでお会いできるなんて、びっくりですね!」

別に俺は会おうと思ったわけでもなく、俺の場所にアンタが勝手に殴り込みみ来たんだ。
デリカシーのない女だ。



「これから出勤ですか?いつもここを利用されてるんですか?おすすめはありますか?」

矢継ぎ早に落ち着きのない話し方・・・少しは落ち着けよ、ここはカフェだぞ、周りに客がいるだろう?見えないのか?迷惑だろう?少しは社会人としてのわきまえってもんはないのか?



「あぁ、私はブラックしか飲まないので・・・」



放っておいてくれ
なぜ、こんな珍獣のようなものの相手をしなくちゃならないんだ。
俺の楽しみの時間を・・・クソっ

向坂さんの客じゃなければ、別に話すら交わしたくない相手だ。




女はなにやらひとりごとをいいながらメニューをめくっている

「これ、美味しそうじゃないですかぁ?朝からパンケーキかぁ〜・・・。どうですかね〜?
重いですよねぇ〜?でも女子が朝からパンケーキって可愛くないですか〜?」

「でも、私甘いドリンクしか飲めないし。どうしよう・・・、糖分摂りすぎかなぁ?」





「お決まりになられましたか?」


「えっと・・・ちょっと待ってください」
「どーおもいます?パンケーキ重いですかねぇ、朝からって。あーーーーのーーーー。」



急に大きな声が耳元したかと思って振り向くとオンナは
「どっちが良いと思います?」とメニューを向けて聞いてきた。


はぁぁ?知るかよ・・・
「どっちでも良いんじゃないですか?今の田中さんの気持ちで私はコーヒーしか飲まないので」



「そっか〜コーヒーしか飲まないんでしたねぇ。じゃあ今の気分で!
パンケーキとラテお願いします」

パンケーキとラテですね。しばらくお待ちください。
そういうと店員はキッチンの方へ帰っていった。



あぁ、早く立ち去ってくれ。
俺の穏やかな時間を返してくれ。


「何してるんですか〜?」
覗き込むオンナにアニメの画面を見せる。
大抵の奴はここで「オタクに興味はない」と距離をとるんだ。
こうして、俺は俺の時間を確保できる。


「あ〜アニメ好きなんですね〜!そのアニメおすすめなんですか?私アニメ見ないから分からなくて
今、アニメ見てるってことは、まだ出勤前にお時間があるんですね〜」


俺を詮索して何が楽しいんだ?
ただの雨宿りだろう・・・静かにしてくれないか


「出社前にこうしているのが落ち着けるんです。集中しても良いですか?」

「ごめんなさい・・・私一方的に喋っちゃって邪魔しちゃいましたね・・・」



自覚があるならもう話かけてこないでくれ。面倒だ。




「わぁ〜かわいい!ねこちゃんだぁ〜!!どうして猫が好きって分かったんですか?」
「お客様のバッグに猫のキーホルダーがついていたので」
「そうなんです!猫好きなんです!かわいいですね!!SNSにアップしても良いですか?」
「えぇ、どうぞ。」


隣で何やら騒々しい・・・
そう思ったらオンナが店員と一緒になって騒いでいる
なんだ・・・猫のラテアートか・・・
すると、こっちを向いたオンナが

「かわいいですよね!ねこちゃん!!」


あぁ、めんどくせぇ・・・。

「あぁそうですね」と言うとまた視線をスマホに落とした。



うぜぇ、とっとと食って出ていけよ。











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