第23話

文字数 686文字

業務を終えて会社の外に出ると人っこ一人居なかった。



終電もなくなっていた。

街頭はついているが暗くこの世界に自分一人が取り残されたような気がした。


ここから歩いて帰るのか・・・。


普段なら何をしている時間か・・・
その考えがよぎるだけでも血管がプチッといきそうで無意味だと夜空を仰いだ。


そこにいつもあって何も変わらない星空とそこにあるのにいつも別物の雲がさーっと流れていった。
雲の切れ間から月明かりに照らされて
まるで、最後に取り残された人間のように哀れにスポットライトを当てられた気分だった。




何も変わらない。
努力は報われない。
そして極め付けは運が悪い。



それが俺なんだ。
そう言われているように月明かりに照らされた影が伸びて、ビルの影に頭打ちになっていた。




この世は不条理だ。

一生かけての罰ゲームだ。


人生なんて、個人の努力でどうすることもできない。


生まれた瞬間、スペック・運が決まっている。

もしかすると、死ぬ瞬間までのシナリオも決まっているのかもしれない。


そんな中で、ジタバタしてるのがいかに滑稽か。




与えられたもの

与えられた選択肢の中から


更に選べる選択肢と選ぶことの出来ない選択肢を眺めているだけの自分。




小さな箱庭の中で生きている俺を嘲笑うように見ている管理者のような奴がいるんじゃないか?と子供の頃から思っていた。


抗えないルールと越えることの出来ない境界線。


箱庭の住人は、所詮、自分の箱庭さえ選べないのだ。




努力しても何もかわらない。


ただ、目の前のタスクをこなす為に
僅かな自分の時間を作り出す為に作業速度を上げ、スキルを上げるしか俺には選択肢がないんだ。





こんな世界
消えちまえばいい・・・・









ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み