第24話

文字数 931文字

不快な気持ちで目覚めた朝
いつも通りに家を出る。


そして、いつものカフェに立ち寄り、モーニングを頼みイヤホンを装着し、アニメを見る。
遮断。


外の世界など要らない。

他の奴らなど知らない。

面白くもない日常など、眺めるのに飽き飽きする。

どうせ、変わらない面子で、同じようなことばかりが起きている退屈で窮屈な世界だ。



昨日と変わらない今日がまたやってきた。

そして、昨日より悪くならないことだけをささやかに願う。


たまごサンドを一気にたいらげて、ゆっくりホットコーヒーをすする。

熱くて一気飲みなんてできねぇ。
めんどくさいが、火傷するよりましか・・・。


そしていつも冷え切って香りがなくなったそれを飲む。


ルーティーン。
イチローのルーティーンなんて聞くとそれはカッコ良いと言われるだろうが
一般人の俺のルーティーンなど、ただの作業で特別な理由もかっこよさもない。



ただ、昨日と同じ今日がまた来ているだけで
同じように処理をするだけだ。


仕事も食事も趣味も。

だから、この世界を目の前から消して
アニメの世界に入っていく。





「もう、こんな時間か・・・」
気がつくと随分、時間が経っていた。


急がなければ・・・
足早にカフェを後にし、小走りに会社までの道のりを走り出した。






何か得はあったか?

何か得るものはあったか?



ほんの少しの充実感は一瞬で消え去る。
目の前に立ちはだかるビル群に飲み込まれそうになった。



なぜ、俺はここにいるんだ?

なぜここにいなければならないんだ。






肩を落として、重力で地面に沈み込みそうに深いため息をついた。






「おっはよ〜ございま〜す!」


朝から能天気な声が響いている。
きっと、悩みなどないただの馬鹿なんだろう。
俺も考えることを捨てれば、そんなふうに馬鹿みたいに幸せそうになれるんだろうか・・・。


人間は愚かだ。何遍も失敗しても学ばず、また馬鹿なことをしでかす。
なぜ?学ばない?
過去の失敗から・・・。


学んでいれば、そう能天気にはなれないはずだ。

世界は馬鹿で溢れている。
幸せそうな馬鹿な奴らで、仲良しごっこだ。








「ひ〜い〜ら〜ぎ〜さ〜〜〜〜ん!!おっはようございま〜す!!」





あの能天気な馬鹿な声は・・・あいつか・・・。だるい・・・。


疫病神に取り憑かれた俺は、とうとう運の尽きだ。

今日も最悪な一日になりそうだ。







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