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文字数 623文字

 私は、じーっと彼女の顔を見た。 
 彼女は扉を閉めると、窓もない部屋で私が、座っていた寝台の横に座った。温もりが伝わる程だ。
 あかん!これは押し倒すのが礼儀か?
(どんな礼儀だ)それとも優しく口吻でも。
 そうだな、フッ、この物語は青少年少女が、読むかもしれないのだ。変な事をしたら、いきなり強制削除の憂き目に合う。
 私は紳士に、

「何かありましたか?そうだ、この国の事を話して下さい。私は田舎者なので、失礼があってはいけませんから」

と言った。
 よし!第一印象はベストの筈だ、多分。
すると、トルさんは突然俯き、泣き出してしまった。
 あら?何か悪い事した?
 えっ?断りに来たの?
 よくあるパターンだ。
 参った、私はよくフラれる。
 チクショー!何てコッタイ!
と私は出来るだけ平静を装い。

「この国に、好い人でもいらっしゃるのかな?
私も勝手に、あなたを欲しいと言ってしまって申し訳ない」

 さて格好良く言えたかな?
と、トルさんを見ると首を振っていた。
それが、どっちなのか、何を意味するのか分からなかった。
 私が困っていると、トルさんは顔を上げて。

「すみません。あなたを、こんな所に連れて来てしまって。あなたはもう帰れません」

と泣いた。私は少々狼狽えたが、

「何故です?私はこの国に捕まったのかな?
もしです、もしそうでも。あなたが私の嫁になってくれるのなら。私は構いませんよ」

 そう言う私に、トルさんは泣くだけだった。
これは、最悪の展開を予想した方が、良いみたいだ。
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