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文字数 675文字

「何故私の名を?」

「はい、テレパシーです。あなたの心を読みました。お願いですお礼をさせて下さい」

 彼女は(多分メスなのだろう)は、そう言った。私はこれは厄介だなと思ったので。

「いえいえ、どうぞお構いなく。
鰹節と乾燥ワカメは親父が沢山持ってますし。この辺では珍しくもないものです。では」

「いえ、それでは私の気がすみません。
どうぞ、お礼をさせて下さい」

「いやいや。私も忙しい身。あなたに関わる暇がありません。どうぞこれにて。お心は充分に頂きました」

と立ち去ろうとすると、更に・・・。
と何回か、そのやり取りが続き。
私は根負けして、

「わ、分かった、分かったよ。あんたしつこいねぇ〜。お礼受け取るから、さっさと出して」

と言った。すると、

「では、一緒にお越し下さい」

と言った。私は思った。まさか!海の中とか言うのではないのだろうな。こいつは物の怪ではなく、海で死んだ亡者の仲間か。
私を海に引き込むつもりかも知れない。
 これはマズイ展開だ。

「何処へ?」

と聞くと。海岸の外れの岩場を指差した。
 待てよ、これは色仕掛で油断したところを、食う気じゃなかろうな。
しまった、こんな事なら格闘技の訓練をやっとくんだった。
私はシティーボーイだ、その手は苦手だ。
 何だかんだと、兎に角付いて行かないと、
解放されそうもないので。私は亀もどきに案内されて付いて行った。
 岩場の陰、人気のない場所に到着すると。
亀もどきは岩場に向かって。

「戻りました」

と言った。
 俺は誰に言ってるの?イソギンチャク?
ヒトデ?と回りを見回すと、岩場にポッカリと穴があいて。
 そこに、何かしらの廊下が見えた。
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