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文字数 687文字

 見える範囲全てが、綺羅びやかなお祭り騒ぎなのだ。

「凄いな・・・」

私はそう呟いた。するとオトさんが、

「星は、こんなものでは御座いません。
さぞや、驚きになるかと。オホホホ」

と笑った。私は多分、夢を見ているか、或いは妖怪変化に化かされているに違いない。
だが、こんな思いが出来るのなら。騙されようが食われようが、構わないと思ってしまった。
 あの、トルさんさえものに出来れば、うふふふ。頼むぜ!オトさん、嫁に下さいよ〜。
私は取り留めもなく心が乱れた。
トルさんは何故か私には近寄らずに、ずーっと真っ赤な顔をしていた。
まるでりんごの様だった。
 可愛い奴め、もうすぐ俺のものにしてやる。
私は野生が芽生えた。
あの女を私の妻にする。その為なら、万難を排する覚悟だった。
 やはり、親父の血が流れている様だ。
そして平家の血が、よく知らないけど・・・。

 地上に到着した。確かにデカイ!
これは、厳島神社か或いは伊勢神宮さんか東大寺か道後温泉かという程、賑やかで。
更に数倍数十倍の規模だった。
 これは?!と驚き。肝を潰した私が言葉を無くしていると。オトさんは、

「では後程、宴席をもうけますので。こちらでお待ち下さい」

と部屋へ案内された。
 その部屋は意外にも狭いので逆に安心した。
今までが、まるで空中に浮いているような錯覚を受けていたので。地面がしっかりあると理解出来るのが嬉しかったのだ。
 私はその綺麗な、何の塵も汚れも、魚の匂いも無い部屋で、まんじりとしていた。すると、トントンと扉をノックして入ってくる人。
それはトルさんだった。
 何と!積極的な人だ。
それとも、断りに来たのか。
何だか嫌な予感がする。
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