狐に嫁入り

文字数 377文字

晴天の空から雨が降る。

「やっと降った……。」
「久しぶりの神婚すぎて、雨関連の神様たちは加減がわからなくて、場所によっては豪雨ですけどね。」
「うぅ、水害も困る……。」

しかし背に腹は替えられぬ。今は雨を降らす事が先決だ。

「まさか君と結婚するとは……。」

白無垢に身を包んだ女性がそう呟く。それは結婚を喜んでいる花嫁の声色とは微妙に異なっていた。

「結婚理由が雨を降らせる為って、それでいいのか、私……。」

それにきょとんとした花婿が答える。

「僕はもっと時間をかけて口説くつもりだったんですけどね。あれだけはっきり結婚してと言われたら、即座に応えざる負えなかったというか。」
「あれは君に言った訳じゃ……?え?口説く?!」
「僕が家業でなく役所勤めを選んだのは先輩を口説く為ですよ?」

ぱっと花嫁の頬に紅が差す。
花婿は笑った。

「雨の為じゃないですよ?僕の愛しき花嫁さん?」
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