第10話 再び、雑感

文字数 1,216文字

 コンテストが終わってから、私の作品に付いた星の数は激減……。
 応募作はもちろんですが、応募しなかった作品まで影響を受けました。明らかに私の好感度は下がっています(笑)!

 どういうこと⁉ と最初は戸惑いました。だけど一戦交えたわけですから、誰もが傷を負って当然と考えるべきなのかも。むしろ真価が問われるのはこの先なのかもしれません。

 結局コンテストで何が問われていたのか。
 そこを知るには、他の方が書かれた作品についても何らかのアプローチが必要かなと思いました。
 それで私などが感想を書かせて頂いたわけですが、何とも差し出がましいことをしてしまい、お見苦しいところもあったかと思います。どうかご容赦下さい。
 何より、ご協力頂いた皆様、本当にありがとうございました。

 ともあれ、一つ一つの作品を分析していく作業は、とても充実していて楽しかったです。何より感じたのは、皆さん細部にまでこだわって作り込んでいること。シリアス系であれユーモア系であれ、それぞれ渾身の一作なんだと思います。さらっと読み流す程度では見落としてしまうような小さな仕掛けも、たくさんありました。

 第一章の第一節ではここまで情報を開示している、逆にこの件はここまで隠している、といった分析をしていると、その方のもがき苦しみながらの創作過程を追体験しているようでした。こんなにも違った個性を持つ作品なのに、それぞれ苦労の末に練り上げられた、宝物なんだと感じます。

 今回は「大人」が「楽しめる」、その二点に評価基準が集約されたように感じます。比較的「重め」の作品が入賞したのはそのためでしょう。
 別のコンテストではまったく違う物差しで測られると思います。入賞者の顔ぶれはがらっと変わることでしょうね。
 ただ、作者の心の叫びとコンテストの趣旨が一致してはじめて評価される、ということは強く感じます。ここはどんなコンテストでも変わらないんじゃないでしょうか。

 よく言われることですが、読む側は行間を透かし見るようにして、作者の人間性に迫りたいと思っているもの。技術的なことと違って、ここはごまかしが効きませんよね。
 だから私、AIに小説が書けても、人を感動させることはできないんじゃないかと思っています。そこに人間の弱さ、悲しさがどんなに上手に描かれていても、作者自身がその痛みを知らないのだとしたら、私たちは共感できないはずです。

 もちろん生身の人間が書いたように装われたら見破れないかもしれませんし、そうなったらもはや小説で感動すること自体がなくなっちゃうような気もします。そんな時代が来ないことを切に祈ります。小説好きな私たちにできることがあるとしたら、やっぱり死に物狂いで「人間」を描くこと。

 また自分の作品をアップデートさせて、挑戦を続けたいと思います。
 皆さま、また別のコンテストで戦って下さいね(笑)!

 
 
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