第2話 芝居町に咲いた恋バナ

文字数 1,153文字

芝居町に咲いた恋の花

江戸時代の梨園の世間って案外狭かった?

3人の役者と恋仲になった役者の妹
 
お砂

お砂という人について

初代市川八百蔵の妹 大阪の役者の娘

男勝りできっぷが良い 頼りになるアネゴ肌

心意気がありおもしろい娘と評判

竹を割ったような性格 センス抜群

芝居町のおばちゃんたちのアイドル

晩年は、三味線師匠として父を養った

のちの中村伝蔵を女手ひとつで育てた

最初の恋
当時のスター
市松模様を世に広めた

女房持ちの通称 盛府こと、

佐野川市松

お熱を上げて猛烈アタックした後、

しばらく、愛人として交際するが‥‥

兄の急死によりお家存続のため、

初代中村伝蔵と電撃結婚した。
 
2番目の恋

初代中村伝蔵と結婚。

新婚生活はけっして甘くはなかった。

出だしはまだ、盛府に未練があったからだ。

さらに、後半は、

梨園の御曹司との恋仲が噂されてしまう。

兄の八百蔵も、

ひいきが、八百蔵が「助六」に出演した際に

水入れした天水桶の水をとっくりに入れて、

持ち帰るほどの絶頂期の最中、

43歳の若さで急死したが、

夫となった伝蔵もまた、心半ばして急死した。

中村伝蔵は結婚後、

義兄の名跡を継ぎ二代目八百蔵襲名。

中村伝九郎の弟子。 俳名は中車と名乗った

将棋好きとしても知られた。
 
3番目の恋

当時の梨園を騒がせた 未亡人と御曹司との不倫

お砂騒動!

安永7年、9月。

夫の急死を受けて未亡人となった

お砂は、こどものころから知る五代目団十郎を頼った。

息子の将来を思ってのことだったが、

当時、五代目も2年前に、長男を亡くし

父の四代目が亡くなり、

後継者争いが勃発しており、

夫婦仲も上手くいっていなかったこともあり、

単なる役者の浮気では収まらなかった。

「飛んだことだ~市川の団十郎色事の大評判

またも後家の後家だ ほれるにも程がある

ほれてほれぬいた 飛んだことだ~ 」

と2人の密通事件を報じた瓦版が売れに売れまくったという。

後日談として、お砂が、息子伝蔵を

「市村座」の出演が決まっていた

五代目団十郎に取り立ててもらおうと

息子の伝蔵を

中村屋から市川宗家へ鞍替えさせようとしたことを

快く思わなかった四代目幸四郎が

大げさに世間に噂を流したとも伝わる。
 
お砂騒動の裏で起きたもうひとつの騒動

についてはまた、別の機会に‥‥ 。

色恋沙汰も芸の肥やしと

昔の役者は言ったもんだ。

独身時代は、どんなに、

プレイボーイで名をはせようと、

来るべき時が来たら、きちんと収まるのがベスト。

結婚する前の相手との関係をきれいさっぱり

身持ち良くしてから、家庭を持つべきところです。

なんにせよ、梨園の世界においては、

女房こどもがいた方が良い。

こどもを良く育てて、ごひいき筋にも評判が良い

女房に支えられてこそ、良い仕事が持てるもんだ。

昔がたきの言い草ですが‥‥

かしこ

参考

「江戸人と歌舞伎」 「歌舞伎と人形浄瑠璃」

田口章子





















































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