(二)‐9

文字数 288文字

 そしてゴールデンウィークが終わった頃、郁雄は恵美に打ち明けられた。美大は受験しないかもしれない、と。何度も理由を尋ねたが、恵美は「気にしないで」と言うばかりで、はっきりした理由はわからなかった。
 郁雄は学校生活と受験対策の合間をぬって一〇月に開催される学園祭で飾る絵と、高校生活最後のコンクール出品作を仕上げた。恵美も同じく活動していた。しかし、二学期になって学校を休みがちになっていった。
 冬休みが明けて三学期が始まると恵美はほとんど登校しなくなった。三年生だからそもそも登校する機会もあまりなかったが、二月からの長い春休みに入る直前の学年末テストも欠席していた。

(続く)
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