第2話

文字数 6,316文字

 4月9日火曜日
1回戦~大宮~埼玉西武1敗
楽天   0 0 0 4 2 1 0 0 0 7
埼玉西武 0 0 0 3 1 0 2 0 0 6
勝 辛島2勝  セーブ 松井3セーブ  敗 ニール1勝1敗
本 山川5号3ラン 浅村2号2ラン

中村選手が左足の張りのため、森選手が首の張りを訴えたためそれぞれ欠場、代わって岡田選手が今シーズン初のスタメンマスクをかぶることとなった。
序盤はお互いに無得点で迎えた4回表、イーグルスはウィーラー選手のタイムリー内野安打で先制すると、山川選手のエラーも絡み4失点。
その裏ライオンズも、自らのエラーの汚名返上とばかりに、左中間スタンドへ5号3ランを山川選手が放ち、3点のお返し。
ここで立て直したいニール投手だったが、続く5回表、浅村選手に2ランホームランを被弾してしまうなど、6回途中7失点で降板となった。
結果的に、昨シーズンまでのチームメート浅村選手に浴びた一発が最後まで響き、1点差でライオンズは初戦を落としてしまった。

ただこの試合、中村選手に代わって9番サードでスタメン出場した熊代選手が5回裏の第2打でレフトへ2ベースを打ち、ベンチがスタンドが大いに盛り上がった。昨シーズンはノーヒットに終わっていた熊代選手のヒットは、ムードメーカーとして日頃からチームを盛り上げている姿そのままに、チームのムードを、僕たちファンの心を明るくしてくれた。
それゆえに、何とか勝ちたかった試合だったが、1点届かず・・・。



 4月10日水曜日
2回戦~メットライフドーム~埼玉西武2敗
楽天   0 0 1 0 6 0 0 0 0 7
埼玉西武 0 0 2 0 0 0 0 2 1 5
勝 福井1勝  セーブ 松井4セーブ  敗 武隈1勝1敗
本 メヒア2号

2-1と1点リードで迎えた5回表、島内選手の2点タイムリー2ベースと犠牲フライ、ブラッシュ選手のタイムリーなど、先発武隈投手、2番手田村投手が猛攻を止めきれず、一挙6失点。
その後は佐野投手・齋藤大投手が2イニングずつを無失点でしのぎ、打線も2点差まで詰め寄るもそこまで、連日の惜敗でこの2連戦2連敗となってしまった。

そんな中でも、ライオンズの球団史に、輝かしい記録が刻まれた。
9回裏イーグルスのクローザー松井投手から、代打メヒア選手がライトスタンドに今シーズン第2号ホームランを叩き込んだ。
このホームランが、球団通算9000号のメモリアルアーチとなった。
9000号のホームランというのは、巨人の1万174本に次ぎ(4月10日時点)史上2番目の本数となり、パ・リーグの球団ではもちろん史上初の快挙となった。
西鉄時代の1950年3月16日東急1回戦での長谷川善三さんが放った球団初ホームラン以降、数々の偉大な先輩・名選手方が放ったホームランが、連綿と積み上げてきた、とても素晴らしい名誉ある大記録だと思う。
メヒア選手おめでとうございます、メヒアさまさまや!!



 4月12日金曜日
1回戦~メットライフドーム~埼玉西武1勝
オリックス 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
埼玉西武  0 0 0 0 0 0 0 0 1× 1
勝 多和田1勝1敗  敗 比嘉1敗

ライオンズ多和田投手、バファローズ山岡投手と、両チームの開幕投手同士の投げ合いで始まった一戦は、その名に恥じない投手戦となった。
特に多和田投手のピッチングはすごいとしか言いようがないくらいの、圧巻のものだった。
何しろ7回表二死まで、打者20人を1人も出塁させないパーフェクトピッチング、惜しくも21人目の打者吉田正選手にライト前ヒットを打たれ、大記録達成とはならなかったが、8回を投げ切り、先に投手リレーに入っていたバファローズ同様無失点。
お互いしびれる展開で迎えた9回表、多和田投手は二死一・三塁のピンチを背負った。
ここで4番ロメロ選手に対して、多和田投手・森選手のバッテリーは、これでもかと徹底した強気のインコース攻めを続け、最後もインコースのボールで見事空振り三振に斬り、ピンチを脱出、無失点で9回を投げ切った。

すると9回裏、バファローズ比嘉投手から、途中出場の愛斗選手が放ったセカンドゴロが相手野手陣のエラーを誘い、タイムリーエラーながら1点をもぎ取り、1-0でサヨナラ勝ちを収めた。

この試合は何と言っても多和田投手の好投に尽きるのではないか。
7回二死まで完全投球、開幕して2試合白星をあげられていなかったが、そんなことは微塵も感じさせない素晴らしいピッチングでゲームを支配した。
それに加えてキャッチャー森選手のリードも抜群だった。
ピンチを迎えても強気に多和田投手を引っ張り続けた。
特筆すべきは9回表二死一・三塁のピンチでの、ロメロ選手に対してのピッチングに集約されていった。
長打を避けたい状況ながら、何度も何度もインコースに要求し、それに多和田投手も応えた。
空振り三振に抑えた最後のボールもインコースへのストレートだった。
結果1-0完封勝利という快投を演じたのだが、ライオンズの投手の1-0完封勝利は、2013年8月11日オリックス戦での岸投手以来、サヨナラ勝利にまで遡ると、2009年8月22日ロッテ戦の岸投手以来の10年振りの記録となった。

また7回裏に四球で出塁した外崎選手は、一塁への牽制球でベースに戻った際、右手小指を脱臼するアクシデントがあった。
テレビの画面からでもはっきりわかるくらい、ありえない方向に小指が曲がっていたが、いったんベンチに下がると、何と自分で脱臼を治して戻ってくるという気迫を見せた。
結局フル出場を果たした外崎選手には、本当に頭が下がった。



 4月13日土曜日
2回戦~メットライフドーム~埼玉西武1勝1敗
オリックス 1 0 2 1 0 3 2 1 0 10
埼玉西武  0 1 2 0 0 0 0 0 0 3
勝 山﨑福1勝  敗 今井1勝2敗
本 杉本1号2ラン 2号

3-3の4回表、西浦選手に犠牲フライを打たれ勝ち越された先発今井投手は、とにかくボールが暴れて制球もままならず。
5回2/3イニングを5安打6四球7失点の大乱調で、辻監督が「就任以来一番しょうもない試合」と評したことが、すべてだったように思えた。
いくら打線が強力なライオンズといえども、やはりある程度ピッチャーが試合を作ってくれないと、戦いは苦しくなる。

なお心配な出来事もあった。
源田選手が5回裏に右手首に死球を受けてしまった。
一応この試合はフル出場したが、翌日以降の出場は微妙な状況とのことで、心配でならない。




 4月14日日曜日
3回戦~メットライフドーム~埼玉西武2勝1敗
オリックス 1 0 0 0 0 2 0 0 0 3
埼玉西武  0 1 0 0 4 3 3 0 × 11
勝 髙橋光2勝1敗  敗 松葉2敗
本 吉田正2号 3号2ラン  山川6号3ラン 森2号

前日の試合で右手首に死球を受け心配された源田選手は、大事を取りスタメンから外れ、新人からの連続フルイニング出場は299試合で止まった。
まだシーズン序盤、どうか大事に至りませぬよう祈るばかりである。
代わって永江選手が9番ショートでスタメン出場、なお秋山選手が今シーズン初めて2番センターでスタメン出場、3番には外崎選手が座った。

1-1の5回裏、外崎選手のタイムリーで勝ち越すと、山川選手も6号3ランホームランで続き4点を奪った。
6回裏にも3点を追加すると、7回裏には森選手の2号ホームランも飛び出し、2ケタ11得点を奪い、11-3と快勝した。
先発した髙橋光成投手は、吉田正選手に2本のホームランを打たれたものの、6回3失点と試合を作り、2勝目。
年間通して先発ローテーションの軸へとなってほしい髙橋光成投手、毎試合毎試合が勉強であり経験であると思うし、点を取られてもこの日のように粘って試合を作りさえすれば、打線は12球団屈指のライオンズ、先発の柱として一本立ちできる過程は整っていると言えるだろう。

またスタメンを外れた源田選手は、栗山選手の代走として出場したものの、守備に就かず打席にも立たなかったので、出場としては記録されず、フルイニングだけでなく連続試合出場も止まった。
でも今はまだ焦る時期ではなし、コンディションを1日も早く戻して、万全の状態での1日も早い復帰を願うばかり。




4月16日火曜日
3回戦~楽天生命パーク宮城~埼玉西武3敗
埼玉西武 0 0 1 0 2 1 0 0 0 0 4
楽天   0 0 2 0 1 1 0 0 0 1× 5
勝 高梨1勝  敗 マーティン1敗1セーブ
本 秋山1号 茂木2号 中村2号

0-0の3回表、秋山選手が辛島投手から待望の今シーズン第1号ホームランを放ち、この日が31歳の誕生日を自ら祝うバースデイアーチで先制。
ちなみにこれまでの秋山選手の誕生日での成績は、6試合で22打数6安打、ホームランはこの日が初めてだということだ。

3-3の6回表には、中村選手が第2号ホームランを青山投手から放ち1点を勝ち越すも、その裏に追い付かれ、取ったら取られるという試合展開で中盤を終えた。
ライオンズは7回~9回を平井投手・増田投手がノーヒットで抑える力投を見せ踏みとどまった。

しかし延長戦に突入した10回裏、この回から登板したマーティン投手が無死一・二塁から島内選手に死球を当ててしまい、この投球が危険球と判定されて退場。
無死満塁の絶体絶命のピンチで小川投手が登板したが、ウィーラー選手にセンターへ犠牲フライを打たれてしまい、THE END、4-5とサヨナラ負けを喫してしまった。




 4月17日水曜日
4回戦~楽天生命パーク宮城~埼玉西武4敗
埼玉西武 3 0 0 0 0 0 0 0 1 4
楽天   0 0 0 2 3 2 0 0 × 7
勝 福井2勝  セーブ 松井6セーブ  敗 本田1勝1敗
本 浅村3号3ラン

1回表森選手の押し出し四球、栗山選手のタイムリーなどで幸先良く3点を先制したライオンズ。
先発の本田投手は序盤3イニングを無失点に抑える立ち上がりを見せた。
だが4回裏に2点を返されると、続く5回裏、二死一・二塁から浅村選手に逆転の3ランホームランを打たれ、まさかの逆転。
浅村選手の直前の藤田選手に与えた四球が、結果的に痛かった。

4点を追うライオンズは9回表に意地を見せた。
先頭熊代選手が四球を選ぶと、1番金子侑選手・2番秋山選手・3番外崎選手が3連打で1点を返し、なお無死満塁と、イーグルスのクローザー松井投手を攻め立てた。
一発出れば逆転という場面だったが、山川選手・森選手が連続三振に倒れ、中村選手もショートゴロに打ち取られ、逆転は夢と消えての連敗。
対楽天開幕4連敗と、なかなか勝てない、悔しい。
期待の先発本田投手も中盤につかまり初黒星を喫したが、四球と走者をためての一発と見えた課題を、今後の糧としてほしい。




 4月19日金曜日
4回戦~メットライフドーム~埼玉西武4敗
ソフトバンク 0 0 2 0 0 0 0 0 0 2
埼玉西武   0 0 0 0 0 0 0 0 0 0
勝 千賀1勝  セーブ 森6セーブ  敗 多和田1勝2敗

開幕戦以来のライオンズ多和田投手、ホークス千賀投手の顔合わせとなったこの一戦は、投手戦となった。
3回表に今宮選手と松田宣選手に連続タイムリーを打たれ2点を失った多和田投手だったが、集中力を切らさずに7回途中まで10安打を打たれながら、追加点を与えず粘っていった。
多和田投手の後を受けた平井投手・野田投手も必死の力投を見せ、3回表以外は、スコアボードに0を並べて味方打線の反撃を待った。

が、多和田投手以上に、この試合は千賀投手のピッチングが上回っていた。
昨シーズンは相性が良かった千賀投手の前に、外崎選手が4打席4三振に倒れるなど、8回まで11奪三振無失点に抑えられ、結局ホークスの投手リレーの前に、得点を奪うことができなかった。

ただ光明も見いだせた。
この試合源田選手が3試合振りに9番ショートでスタメン復帰して、8回裏の第3打席ではレフトへヒットも放ち、存在感を見せてくれたのには、心から安堵した。
ソフトバンク追撃には、源田選手の力はなくてはならないものなのだから。




 4月20日土曜日
5回戦~メットライフドーム~埼玉西武1勝4敗
ソフトバンク 1 0 0 0 0 0 2 1 0 4
埼玉西武   0 5 1 0 0 0 0 0 × 6
勝 今井2勝2敗  セーブ 増田2セーブ  敗 スアレス1敗
本 今宮6号 山川7号 デスパイネ2号

前日スタメン復帰した源田選手が2番ショートに入り、秋山選手が3番、外崎選手が6番と開幕オーダーに戻ったライオンズ。

1点を先制されたライオンズだったが、2回裏二死満塁から木村選手が走者一掃の3点タイムリー3ベースを弾き返し逆転すると、金子侑選手、源田選手もタイムリーで続き、この回5得点。
3回裏にも山川選手がスアレス投手から7号ホームランを放ち、序盤で6得点。

先発今井投手は、今宮選手とデスパイネ選手にホームランを浴びたものの、7回途中3失点でゲームメーク、前回登板の雪辱を果たした。
2点差に迫られた最終回も増田投手がきっちりと締め、6-4で逃げ切り、ソフトバンク戦今シーズン初勝利をあげた。

連敗を3で止めるヒーローとなった逆転打の木村選手。
今シーズン開幕からライトのポジションを掴み、スタメン出場を続ける13年目の木村選手は、元々投手として入団。
投手で6年、野手転向後今年で7年目を迎え、野手としてのキャリアがすっかりお馴染みとなり、かねてより高い評価を受けていた、一級品の守備・走塁だけでなく、要所でのバッティングでもキラリと光るものを見せてくれている。
こういった苦労人の活躍も、プロ野球にはなくてはならない魅力だと、ウルっときてしまった僕だった。




 4月21日日曜日
6回戦~メットライフドーム~埼玉西武1勝5敗
ソフトバンク 0 0 1 5 5 0 1 0 4 16
埼玉西武   0 0 0 0 2 2 1 0 0 5
勝 高橋礼4勝  敗 髙橋光2勝2敗
本 甲斐2号 周東1号3ラン 外崎3号 松田宣5号2ラン 美間1号

甲斐選手に3回表、先制ホームランを打たれてしまった先発髙橋光成投手は、4回表に何と5失点。
本来の力強い真っすぐが影を潜めていた印象で、修正しきれないままホークス打線の勢いを止められなかった。
2番手で登板した高木勇投手以降、佐野投手、齋藤大投手と、登板した4投手が全員失点、とりわけホークスの若手選手たちに痛打されるケースが目立ち、16失点の惨敗。

ちなみにこの日が、平成では最後の本拠地メットライフドームでの試合だった。
数々の名勝負、球史に残る輝かしい記録の瞬間を見せてくれた、平成のメットライフドームでの試合たち。
元号が変わった後、今度は一体どういった名シーンを、僕たちに見せてくれるのだろうか。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み