第15話 話し合いの結果 後日談

文字数 869文字

「伸也さん。ありがとうございました。味方になってくれて、あれで心が落ち着きました」

 話し合いから数日後、早苗さんが平日の昼間、僕の所にやって来ていた。
 あれから、牧野先生が自分のしたことを認め、早苗さん以外にも複数人の女生徒と関係があった事がわかった。
 学園側とご両親の間で話し合いが行なわれ、やっと落ち着いたところで僕の所にやって来たというわけだ。
 実は、その前に学園側と早苗さんのご両親が、お礼と謝罪に来てくれてはいたのだけど、詳しい話は聞かなかった。

「そう。それは良かった。それで、後の事は僕が訊いても良いのかい?」
「はい。お腹の子は、堕ろすことになりました。本当は産みたかったけど、私一人じゃとても育てられないし……」
 牧野先生は、その後逃げるように学校を辞めていったと、由希子さんが言っていた。学校内の噂も、ひどいことになっているらしい。

「そうだね。噂もかなり広まっているし……。
 学園、辞めたんだって? 牧野先生」
「はい」
 早苗さんは、穏やかだ。ここに泣きそうな顔で愛理さんに連れて来られた時とは、別人のように。
「君も転校するの?」
「いえ。親からも、学校からも転校を勧められたのだけど。
 こんな事になってしまった私を受け入れてくれる私立はないし、公立に行っても、このネット社会じゃ噂はついて回るから……」
 少しうつむいて、曖昧に早苗さんは笑う。

「そうだね。義務教育中だし、学園は退学に出来ないからね。
 どうせ、どこに行っても一緒なら少しでも味方がいる所の方が良いか」
「え?」
 早苗さんは、驚いた様に顔を上げて僕を見る。
「味方だろう? うちの由希子さんも、愛理さんも、里沙さんも……。
 僕は学園内には行けないけど、早苗さんさえ良かったら、また皆でここに遊びに来たら良いよ」
「良いの? 牧野先生にあんな風に言われたのに……」
「事実無根だからね。やましい事なんて何も無いし……。
 早苗さんは、由希子さんの大切な友達だよ」
 そう言った僕に、早苗さんは、嬉しそうに笑ってくれた。
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