膣から産まれる人間と、帝王切開で産まれる人間は、抵抗力が違う話すりゅ????
文字数 1,059文字
人間は生まれるとき、体表にはなんの菌もついていないが、母体から出るときの過程で(つまり膣から出るか帝王切開で取り出すかによって)、その通過場所からの菌を受け取るために、体表にはびこる細菌類が変わり、ゆくゆくは身体の抵抗力も変わるという話。
ちなみにこの本は、ニキビ原因になるアクネ菌が、人間からブドウの木に移動して暮らしてるって話もしてて面白い。
以下引用元。
≪《『皮膚、人間のすべてを語る 万能の臓器と巡る10章』 モンティ・ライマン:著 塩崎香織:訳 2022 みすず書房 p47,48
》≫
皮膚のマイクロバイオームは皮膚の健康状態にも影響を及ぼしているので、その構成に手を加えることができれば、皮膚疾患の治療が変わるかもしれない。ヒトの誕生の瞬間からみていくと、分娩様式の違い(経膣分娩か帝王切開か)によって皮膚と腸のマイクロバイオームの将来に差ができる可能性が示されている。外の世界に出てくるときの赤ちゃんのぬるぬるした肌はほぼまっさらなキャンバスのようで、微生物の定着を待ち受けている状態だ。そんな生まれたばかりの赤ちゃんの体表面に、経膣分娩なら母親の膣内にいる細菌、帝王切開の場合は切開部の皮膚に生息する細菌に加えて分娩室の空気に混じ る細菌の一部が早々と乗り込んでくる。新生児の皮膚に先駆者として降り立つ細菌が正確にどんな種類のものかは重要で、長期的な影響を及ぼすこともあるが、それはこれらの細菌がたちまち支配的な地位を固め、ほかの細菌があとから足場を得るのが難しくなるからだ。やっかいな黄色ブドウ球菌がいる母親の腹部の皮膚や分娩室の空気に比べると、膣由来の微生物には「身体によい」細菌が多い。帝王切開で生まれた赤ちゃんは成長してアレルギーを発症するリスクが高いように思えるのはこのためかもしれない。それでは、新生児には必ず母親の膣粘液を塗りつけるようにすべきなのだろうか。膣液植えつけ(vaginal seeding)と呼ばれるこの処置はまだ一般的とはいえないが、希望者は確実に増えている。たとえばデンマークでは、産科医の九〇パーセントが出産を控えた女性から問い合わせを受けたことがあるという。しかし、その裏づけとなる科学的なエビデンスは現在のところ十分ではない。長期にわたる影響も不明だし、帝王切開児のアレルギー率が高いのは、母親が抗生物質を服用しなければならない状態にあるなど、出産時に手術が必要になる要因のためだとする研究もある。
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