【Baby, Tell Me You Love Me】誠さん、サイズの話ですよ

文字数 854文字

【ご案内】こちらは「Baby, Tell Me You Love Me.」に付随するお話です。時間軸は「本編後」となります。


今日はまるごと一日買い物デート。高速を使い遠出して、助手席の環と一緒にアウトレットモールを目指す。環調べでは現在冬服セールの真っ只中らしい。十一月に入り冬へと向かって日増しに冷え込む不可逆な時間の流れと、変わらずそばにいてくれる温かい笑顔。一方の俺はと言えば朝晩の寒暖差と例によって仕事丸投げフェスにまた巻き込まれた挙句の疲労によりやや鼻声だが、彼はそれすら可愛いと言ってくれた。その頬をそっと撫で感謝を伝えてから車を降りる。

天気のいい週末ともあり賑わいを見せる店先。自分も適度に物色しつつ、環の気にいるお店を中心に巡っていくことに。すると二箇所目で早速お眼鏡にかなうものを見つけたらしく、彼はハンガーラックからカットソーを手にとった。

「誠さん、これめっちゃ着回しききそうじゃないですか?あ、着心地も良さそう」

「うん、似合うけどそれサイズ小さくないか?」

「それがこれでぴったりなんですよ。自分、実はSでして。身長の割に細いのかなあ。バランス悪いカラダですよねえ、アハハ」

「へえ、なるほど……(環のカラダはS……え……ちょっと待って環本当はSなのか暴れん坊なのか遠慮して隠してたのか?……そうか……エス……おいおいおいおいとんだご褒美かよむりむりむりむりむり(以下省略))」

「おーい、誠さん?どうしました?やっぱりこれ似合わないです?」

「……もうダメむり……」

「えっ!体調悪化しちゃったんですね?大丈夫ですか?!」

思わずこぼれてしまった心の声は体よく取り繕いそのまま買い物を続行。あいにく環のSっぷりが顔を覗かせることはなかったがこの上なく充実した一日を過ごした翌日、俺は熱で倒れた。

あのとき、普通に考えて洋服のサイズの話をしていたことが明らかなのだが、体調不良で気が確かではなかったのだろう。そうに違いない。そういうことにする。あのときあの場所で浮かんだ言葉は、墓場まで持っていこう。

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