【Distortion】ごめん兄貴いま時間いい?
文字数 1,358文字
ごめん兄貴。仕事終わりの疲れてるとこ申し訳ないんだけど、ちょっと、時間くれないかな。
カイト「タクト、何飲む?季節限定のやつ?うん、オッケー。座って待ってて」
「はいお待たせ。なんかクリームたっぷりで美味そうだな。というか甘党だったっけ?
ふうん、たしかに。一日中仕事に集中した頭には丁度いい糖度かもな。え?悪かったな変な日本語で。
ッハハ。いい飲みっぷり。そうか。
ん?いや、こっちの話。
なあなあ、これ見てくれよ。同僚が教えてくれてさ、おうさまぺんぎん?とかいうペンギンのヒナの動画なんだけど。ほらこれヤバくね?ふわふわすぎてもはやぬいぐるみなんだけど。
あー、わかる。よちよち感たまらんよな。
今度の休み水族館行く?
いや言うと思ったけどそんなあからさまに嫌がらなくてもいいじゃんっ。え?休み合うのかって?そりゃあ可愛い弟のために休みのひとつやふたつ……ッハハハハ。わかったよ。また今度な。
あ、そうだ。これは絶対好きだと思うからメッセしとくな。ん?新しくできたプラネタリウムのホームページ。彼女と行ってこいよ。
なんで謝るの?
いや、別に疲れてないし、たとえ疲れてたとしてタクトのお誘い断るわけないじゃん。
何でって、会いたいからに決まってんじゃん。
いやいやいやいや言い方が悪かったのは謝るからブラコンとか言うなよせめて家族愛と言ってくれ。
はい、すみません。語彙力増やします。精進します。
……何で笑うの顔が忙しいな。まあ、笑うのはいいことだ。うん、タクトには笑顔が似合う。
あーもうだから!家族愛と言ってくれ!!
ッハハハハハハ。
な?たまにはいいだろ?
ん?一緒にいるのも、たまには、さ。
気軽に呼んでくれたらいい。何も言いたくなければ言わなくていいし、会う理由がなくてもいい。
ただ、ほら、俺を見てたらわかるだろ。
完璧な人間なんていないんだって。
それでも、この足で立つしかないんだって。
そんな後悔まみれのやつでも、そばにいることは、できるよ。
語彙力なくてもこれだけは言える。
タクトはそのままでいい。
そのままでいいよ。
ときに、外の世界が、外の誰かが、君を責めるかもしれない。
けれどそれは、行くべき道を示しているときなのかもしれない。まあ、だいぶ荒々しいけどな。
「こんなこともできないのか」は、別の場所に才能が眠ってるぞっていう予言かもしれないし、「大失態」は、もっと広い世界で待ってるよっていう呼び声かもしれない。
だから、何かにつまづいても、自分を責めることなんてないからな。
その経験を忘れることも、なかったことにすることも容易じゃないのは充分理解してる。俺もイヤってほどつまづいてきた。知ってるだろ。
それにあれだよな、やっと忘れたと思えた頃に急にフラッシュバックしてさ。心臓に悪いからホントやめてほしいわ。
だけど、きっと、それらと一緒に歩いてきたからこそ気づける努力や涙もあるはずで。それは目に見えようとそうでなくとも。
俺には見えるよ。だから言うよ。
気兼ねなく、そばにいてよ。
そのままでいいよ。
飾らない君のそばに、俺はいるよ。
「……ありがとう、カイト」
「うん?感謝されるような立派なことはしてないけど、その言葉を聞いたら疲れ吹っ飛んだ」
「やっぱ疲れてんじゃん」
「あっいやっこれはその、表現ミスというか何というかっ」
「……ハハ」
「「最高だな」」
カイト「タクト、何飲む?季節限定のやつ?うん、オッケー。座って待ってて」
「はいお待たせ。なんかクリームたっぷりで美味そうだな。というか甘党だったっけ?
ふうん、たしかに。一日中仕事に集中した頭には丁度いい糖度かもな。え?悪かったな変な日本語で。
ッハハ。いい飲みっぷり。そうか。
ん?いや、こっちの話。
なあなあ、これ見てくれよ。同僚が教えてくれてさ、おうさまぺんぎん?とかいうペンギンのヒナの動画なんだけど。ほらこれヤバくね?ふわふわすぎてもはやぬいぐるみなんだけど。
あー、わかる。よちよち感たまらんよな。
今度の休み水族館行く?
いや言うと思ったけどそんなあからさまに嫌がらなくてもいいじゃんっ。え?休み合うのかって?そりゃあ可愛い弟のために休みのひとつやふたつ……ッハハハハ。わかったよ。また今度な。
あ、そうだ。これは絶対好きだと思うからメッセしとくな。ん?新しくできたプラネタリウムのホームページ。彼女と行ってこいよ。
なんで謝るの?
いや、別に疲れてないし、たとえ疲れてたとしてタクトのお誘い断るわけないじゃん。
何でって、会いたいからに決まってんじゃん。
いやいやいやいや言い方が悪かったのは謝るからブラコンとか言うなよせめて家族愛と言ってくれ。
はい、すみません。語彙力増やします。精進します。
……何で笑うの顔が忙しいな。まあ、笑うのはいいことだ。うん、タクトには笑顔が似合う。
あーもうだから!家族愛と言ってくれ!!
ッハハハハハハ。
な?たまにはいいだろ?
ん?一緒にいるのも、たまには、さ。
気軽に呼んでくれたらいい。何も言いたくなければ言わなくていいし、会う理由がなくてもいい。
ただ、ほら、俺を見てたらわかるだろ。
完璧な人間なんていないんだって。
それでも、この足で立つしかないんだって。
そんな後悔まみれのやつでも、そばにいることは、できるよ。
語彙力なくてもこれだけは言える。
タクトはそのままでいい。
そのままでいいよ。
ときに、外の世界が、外の誰かが、君を責めるかもしれない。
けれどそれは、行くべき道を示しているときなのかもしれない。まあ、だいぶ荒々しいけどな。
「こんなこともできないのか」は、別の場所に才能が眠ってるぞっていう予言かもしれないし、「大失態」は、もっと広い世界で待ってるよっていう呼び声かもしれない。
だから、何かにつまづいても、自分を責めることなんてないからな。
その経験を忘れることも、なかったことにすることも容易じゃないのは充分理解してる。俺もイヤってほどつまづいてきた。知ってるだろ。
それにあれだよな、やっと忘れたと思えた頃に急にフラッシュバックしてさ。心臓に悪いからホントやめてほしいわ。
だけど、きっと、それらと一緒に歩いてきたからこそ気づける努力や涙もあるはずで。それは目に見えようとそうでなくとも。
俺には見えるよ。だから言うよ。
気兼ねなく、そばにいてよ。
そのままでいいよ。
飾らない君のそばに、俺はいるよ。
「……ありがとう、カイト」
「うん?感謝されるような立派なことはしてないけど、その言葉を聞いたら疲れ吹っ飛んだ」
「やっぱ疲れてんじゃん」
「あっいやっこれはその、表現ミスというか何というかっ」
「……ハハ」
「「最高だな」」