第15話 向こうの世界 「爆発」
文字数 880文字
《向こうの世界》
『大東亜ファミリー製薬株式会社の地下で爆発』
テレビの生中継で大騒ぎになっている。報道ヘリコプターが空で旋回している。死者が出ている模様という情報まで流れてきた。出火原因は不明だ。
創一郎は高層ビルの窓から階下を見下ろし、人々が逃げ出す様子を眺めていた時、SHIHOを見つけた。走って逃げていた。
なぜ、そこにいるのか......
体がふらついて壁にもたれかかってしゃがみこんだ。
(もうこれは新薬を打たれたに違いない。治験されたんだな。くそっ)
創一郎は日に日に衰弱していった。
(徹に解毒剤を早く作ってもらわないと体がもたないかもな)
◇◇◇
「どうしたんだ?」
ラボでも警報音が大きく鳴りだしたので、太郎は警報スイッチをOFFにした。
「いつもの事だろ」
徹は慌てもしない。何度も同じことが起こっていた。ラボにいれば、時間の感覚さへなくなっていく密閉された空間だ。
完全密室の冷たい個室まで爆発の情報は届いてこなかったのだ。
密かに徹と太郎は兄たちの解毒剤を作り始めているが完成には程遠い。
◇◇◇
日が沈み切った高架道路下の駐車場で、この場所に不釣り合いな黒塗りの高級車が止まった。
防弾ガラス車で運転手付き、助手席には筋肉で固められた体のボディーガードまでいる。
急に降り出した雨の為、ワイパーが激しく動いていた。
「今日の爆発の原因が分かったか?」
唐突に国家安全保障局のデモン局長が横に座っているキングに尋ねた。
「だ、誰かが爆発を起こしたみたいです」
「それなら、そいつを始末し、早く新薬を作れ。国家にかかわる事案だ」
「はい」
「早くしないと、息子たちの命は長くないかもな。色々と、もみ消すのも楽じゃないからな」
不敵なほほえみは不気味さを増していった。
「それと、国家安全保障局にハッキングをいた者がいる。あんたのオフィスからだ」
「はい。何とかします」
キングが返事をして、周りを確認し車を降りた。
雨に打たれながら、キングは携帯電話を取り出し電話を掛けた。
「ライアンか、迎えに来てくれ。それと、情報部にスパイがいる。調べてくれ」
『大東亜ファミリー製薬株式会社の地下で爆発』
テレビの生中継で大騒ぎになっている。報道ヘリコプターが空で旋回している。死者が出ている模様という情報まで流れてきた。出火原因は不明だ。
創一郎は高層ビルの窓から階下を見下ろし、人々が逃げ出す様子を眺めていた時、SHIHOを見つけた。走って逃げていた。
なぜ、そこにいるのか......
体がふらついて壁にもたれかかってしゃがみこんだ。
(もうこれは新薬を打たれたに違いない。治験されたんだな。くそっ)
創一郎は日に日に衰弱していった。
(徹に解毒剤を早く作ってもらわないと体がもたないかもな)
◇◇◇
「どうしたんだ?」
ラボでも警報音が大きく鳴りだしたので、太郎は警報スイッチをOFFにした。
「いつもの事だろ」
徹は慌てもしない。何度も同じことが起こっていた。ラボにいれば、時間の感覚さへなくなっていく密閉された空間だ。
完全密室の冷たい個室まで爆発の情報は届いてこなかったのだ。
密かに徹と太郎は兄たちの解毒剤を作り始めているが完成には程遠い。
◇◇◇
日が沈み切った高架道路下の駐車場で、この場所に不釣り合いな黒塗りの高級車が止まった。
防弾ガラス車で運転手付き、助手席には筋肉で固められた体のボディーガードまでいる。
急に降り出した雨の為、ワイパーが激しく動いていた。
「今日の爆発の原因が分かったか?」
唐突に国家安全保障局のデモン局長が横に座っているキングに尋ねた。
「だ、誰かが爆発を起こしたみたいです」
「それなら、そいつを始末し、早く新薬を作れ。国家にかかわる事案だ」
「はい」
「早くしないと、息子たちの命は長くないかもな。色々と、もみ消すのも楽じゃないからな」
不敵なほほえみは不気味さを増していった。
「それと、国家安全保障局にハッキングをいた者がいる。あんたのオフィスからだ」
「はい。何とかします」
キングが返事をして、周りを確認し車を降りた。
雨に打たれながら、キングは携帯電話を取り出し電話を掛けた。
「ライアンか、迎えに来てくれ。それと、情報部にスパイがいる。調べてくれ」