第26話 向こうの世界 「加藤の任務」

文字数 525文字

 《向こうの世界》

「キング、あちらの世界の方が医療技術が進んでおります。その他は全く同じです。不思議なくらいに」
 加藤がキングに報告した。
 キングがいつものように葉巻を味わっていた。
 そばで腕を組んで立っていたライアンは加藤にはこの仕事は荷が重すぎるのではないかと、心配していた。
「そうか。それは色々想像出来うる良い話だな。あらゆる情報を取ってこい。そして、任務をこなせ」
 キングはこちらに向こうの技術を持ちかえれば革新的に世界が飛躍すると考えた。世界を変えると同時に自分も生まれ変わろうとしていた。
「SHIHOを早く始末しろ。あっちでやってくれ。こちらでやるとややこしくなる」
「はい」
「キング、デモン局長に報告しますか?」
 ライアンが確認した。
「いや、しなくていい。まだ何も始まっていないからな」
「失礼します」
 加藤が部屋を頭を下げて出て行った。

「ところでライアン、加藤はどこで拾ってきたんだ?」
「加藤ですか。あの中国マフィアBHのボス、王の息子です。実名は郭です。私に借りがあるもので......」
「そうか。大丈夫か?」
 キングは、加藤にあまりに派手に動き回られると、会社の評判に傷がつくのを恐れた。
「はい。うまくやります。以前のように」
「頼む」

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登場人物紹介

SHIHO。(シャロン)「向こうの世界」で大東亜ファミリー製薬株式会社の社員として潜入捜査中。二つの世界を救おうと奮闘。

圭太。「現実の世界」を生きる高校二年生。あかりの事が昔から好きだが、告白できないでいる。

キング。「向こうの世界」大東亜ファミリー製薬株式会社社長。一代で会社を築き上げた。

ライアン。「向こうの世界」キングの右腕。大東亜ファミリー製薬株式会社をキングと共に作り上げた。

創一郎。「向こうの世界」で生きる。SHIHOの同僚であり、恋人。

あかり。「現実の世界」圭太の幼馴染。

ジョン。特別捜査官。「向こうの世界」シャロンの同僚。シャロンを助けるために奔走する。

堂下先生。「現実の世界」圭太とあかりの塾の先生。

徹。「向こうの世界」創一郎の弟で大東亜ファミリー製薬株式会社の研究者。

蓮。「現実の世界」圭太の弟で若き天才研究者。

ケイン。「向こうの世界」で特別捜査官のボス。シャロンの親代わり。

京野。「現実の世界」あかりの友人。

デモン。「向こうの世界」の国家安全保障局の局長。

洋平。「現実の世界」圭太の親友。

レイチェル。シャロンの妹で小学校の教師。シャロンと血はつながっていない。

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