第7話 ものさしの孫兵衛さん はじめての謝罪
文字数 1,096文字
真夜中3時。
ぼくはパシパシと頭をたたかれて目をさました。
「おい、えんぴつ削り。ワシは明日どこにいくんじゃ?」
まぶたをこすりながらよく見ると孫の手が話しかけていた。
(あれ?さっきみんなの背中をかいていたのに、どうしてここに?)
そう考えていたら...「ワシはものさしじゃ!」
これが孫兵衛さんとの初めての意思疎通だった。
孫兵衛さんはパパさんが子供のころ、いやもっとずっと前からウチにいたらしい。
パパさんが小学生のころはものさしとして使われていたけど、今ではすっかり背中をかく孫の手がわりになっている。寝るのも早い、起きるのも早い。だから自分が孫の手で使われてるってことにも気づかず、ぼくらと話すなんてこともなかった。
けれど、まさとくんが明日学校に「定規」が必要なのをパパさんに相談したら、孫兵衛さんを持っていくように言われて、孫兵衛さんは机の上でとても気をもんでいる。
「だいたい、今はいつなんだ」
「えっと令和6年です」
「なんだ、その令和っていうのは。昭和じゃないのか。昭和じゃないとわからん」
ぼくは机の上にあったもので調べようとした。
「な、なんじゃそれは。かまぼこ板が光っとるぞ」
「これはスマホです」
「すまぁほぉ?」
スマートフォンの略だと教えて、調べたことをこたえた。
「今は昭和99年です」
「な、なんと、ぼーっと生きてたらあっという間に昭和99年か」
感慨深げな孫兵衛さんには後悔していることがあった。
それは昭和ならではのできごとだった。
子供のころとてもやんちゃだったパパさんは、おじいちゃんからよくしかられた。とくに悪いときはものさしでたたかれたそうだ。たたいた道具にされたものさしの孫兵衛さんはそのことをとても後悔をしている。
「トラウマになっとらんか。心配じゃ」
「あやまりたいのう」
・・・・「というわけで、わたしたちがおこされたの?」
コロロちゃんとカレンちゃんが眠い目をこすっている。
「ごめんね。二人がローラーになって孫兵衛さんを運べると思って」
「わかったわよ。ところで太郎くんは来ないの?」
「ぼくは足がないから」
「太郎くん、空飛べるじゃない」
あ!
コロコロ、コロロ。ブンブンブン。
コロコロ、コロロ。ブンブンブン。やっほい!(しーっ)
ぼくらはパパさんたちの寝室についた。
「さあ。今のうちにあやまって」
ぼくは孫兵衛さんにうながした。けれど、孫兵衛さんは首を横に振った。
「違う、これはお父さんじゃ」
「そうよ、パパさんよ」
コロロちゃんがこたえてあげた。
「ワシがあやまりたいのは、こっち」
「こっち?こっちはまさとくんじゃない」
「イヤ、まことくんじゃ」
ハア!?
ぼくはパシパシと頭をたたかれて目をさました。
「おい、えんぴつ削り。ワシは明日どこにいくんじゃ?」
まぶたをこすりながらよく見ると孫の手が話しかけていた。
(あれ?さっきみんなの背中をかいていたのに、どうしてここに?)
そう考えていたら...「ワシはものさしじゃ!」
これが孫兵衛さんとの初めての意思疎通だった。
孫兵衛さんはパパさんが子供のころ、いやもっとずっと前からウチにいたらしい。
パパさんが小学生のころはものさしとして使われていたけど、今ではすっかり背中をかく孫の手がわりになっている。寝るのも早い、起きるのも早い。だから自分が孫の手で使われてるってことにも気づかず、ぼくらと話すなんてこともなかった。
けれど、まさとくんが明日学校に「定規」が必要なのをパパさんに相談したら、孫兵衛さんを持っていくように言われて、孫兵衛さんは机の上でとても気をもんでいる。
「だいたい、今はいつなんだ」
「えっと令和6年です」
「なんだ、その令和っていうのは。昭和じゃないのか。昭和じゃないとわからん」
ぼくは机の上にあったもので調べようとした。
「な、なんじゃそれは。かまぼこ板が光っとるぞ」
「これはスマホです」
「すまぁほぉ?」
スマートフォンの略だと教えて、調べたことをこたえた。
「今は昭和99年です」
「な、なんと、ぼーっと生きてたらあっという間に昭和99年か」
感慨深げな孫兵衛さんには後悔していることがあった。
それは昭和ならではのできごとだった。
子供のころとてもやんちゃだったパパさんは、おじいちゃんからよくしかられた。とくに悪いときはものさしでたたかれたそうだ。たたいた道具にされたものさしの孫兵衛さんはそのことをとても後悔をしている。
「トラウマになっとらんか。心配じゃ」
「あやまりたいのう」
・・・・「というわけで、わたしたちがおこされたの?」
コロロちゃんとカレンちゃんが眠い目をこすっている。
「ごめんね。二人がローラーになって孫兵衛さんを運べると思って」
「わかったわよ。ところで太郎くんは来ないの?」
「ぼくは足がないから」
「太郎くん、空飛べるじゃない」
あ!
コロコロ、コロロ。ブンブンブン。
コロコロ、コロロ。ブンブンブン。やっほい!(しーっ)
ぼくらはパパさんたちの寝室についた。
「さあ。今のうちにあやまって」
ぼくは孫兵衛さんにうながした。けれど、孫兵衛さんは首を横に振った。
「違う、これはお父さんじゃ」
「そうよ、パパさんよ」
コロロちゃんがこたえてあげた。
「ワシがあやまりたいのは、こっち」
「こっち?こっちはまさとくんじゃない」
「イヤ、まことくんじゃ」
ハア!?