第4話 中学2年

文字数 790文字

2カ月前、そう、バレンタインデーに原君はのりさんからチョコをもらったのだが、『感謝のチョコ』と思いっきり言われていた。これは、今年に始まったことではなく、小学5年から3年連続だ。いつか、奇跡でも起こって本命になってほしいと願う原君だった。
そして、2年になって再び二人は同じクラスになった。
原君も2年になると同時に塾に行き始めた。本当は、のりさんと同じところに通いたいが、全然ついて行けなさそうなので、違うところに通っている。
外部受験をしようとしていたのりさんと原君が同じ高校に行くなら、もっと原君は成績を上げなければいけない。そう、小6のとき、一緒の高校に行けたらいいね、とのりさんが言ってくれたことを原君は大切に思っている。原君はこんなに覚えているけど、のりさん本人は覚えているだろうか、とたまに思う。
頑張る原君に、良いことがあった。自分から、塾に行きたいと言ったことで、母親は大変喜んだ。部活が終わってから塾に行くので帰りも遅くなるから、と待望の携帯電話を買ってくれたのだ。これは、原君にとっては、たなぼただった。学校には携帯電話は持っていってはいけないので、必要無いと判断され、携帯を持ち始めるのは、中学3年生(中3になったら、塾に通って、帰りが遅くなるからということらしい。)からと言われていたのだが、それが1年前倒しになったのだ。
1年のときは、のりさんと話をするために、水曜日のお昼休み、図書室に怪しまれない程度に通っていたが、今は携帯でやり取りができる。

『こんばんは。倫太郎君、塾どう?』
『うん、行き始めたばっかだから、まだまだだけど。』
『倫太郎君、志望校決めてる?』
『それは、のりさんと同じところ。』
『そっか。じゃあ、勉強頑張ってよ。私も頑張るから。』
『全然追い付いてないのに、のりさんはまだ、頑張っちゃうの?』
『(笑)うん、まだまだ、頑張るよ。』
『…僕も、頑張るよ
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み