第2話 オセロ(2)

文字数 520文字

 自分はこれから彼女をどうすればいいのか優人は独りベッドの中で考えていた。自分に振り向いてくれなくともずっと彼女を自分のものにしたいのか、それとも振り向いてくれないような彼女は手放せるのか。これをどうやって決めようか、少し考えた後、思いついたのは数か月前、彼女を好きかどうか確かめた方法だった。
 二週間後、優人はいつもの時計台へと向かった。するとすでに麗華が待っていた。もう彼女を見ただけで興奮することはできなかった。カラオケにつくと麗華はすぐに曲を入れた。少し古めのバラードだった。その曲は別れた恋人を吹っ切ることができないという内容だった。彼女は歌い終わったが優人は次に曲を入れなかった。
「麗華、麗華って俺のこと好き?」
 唐突な質問に麗華は少し困惑したがすぐに平然を取り戻した。
「好きよ、もちろん。だから付き合ってるんじゃん」
 この言葉を優人は確信した。
 優人は鞄の中に忍ばせていたナイフを取り出すと彼女の胸を一突きした。彼女が力をなくして横に倒れようとするのを優人は抱きかかえた。優人の胸に押されてナイフが彼女の胸の奥に刺さっていく。優人は彼女の血の温かさを感じた。
「これで一生、君は俺のもの」
優人は笑みを浮かべながらそう言い放った。
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