第4話 リマ(4)

文字数 1,148文字

 麗華を家から追い出すと優人はすぐさま家をきれいに片し始めた。なぜか二つあるパジャマ、コップ、お皿、揚げ出したらきりがない。優人はあらゆる可能性を排除しようと必死に清掃を徹底した。掃除がひと段落着いたところでタイミングよく忠博が帰宅した。忠博は帰ってくるなりすぐに書斎にこもって仕事をし始めた。こういう時はたいてい機嫌が悪いので優人は黙って部屋に入った。
 六時を少し過ぎたころ、忠博が優人の部屋のドアをノックして入ってきた。
「どうだ、気分転換に外でご飯食べに行かないか」
「いいね、父さんは仕事大丈夫?」
「ああ、ようやくきりがついてな。何か食べたいものはあるか」
「寿司、食いたいかな」
「おう、いいな、じゃあ少し駅前まで出て探すか」
「わかった。じゃあちょっと準備するね」
「おい、なんだこれは!」
 忠博が部屋から立ち去ろうと体の向きを変えた時、彼はベッドの下にあるピンク色のものを見つけた。優人はすぐにそれが麗華の下着だということが分かった。
「こ、これは女性用の下着じゃないか、こんなものどうしたんだ」
 優人はうつむいたまま何もしゃべらなかった。忠博は優人の頬を平手打ちした。
「親がいないことをいいことに、女を連れ込んで、何を考えているんだ。そんな色恋に浸かっているとどんどん頭がバカになっていくんだ。お前はそんなのでいいのか。いやだめだ。お前は父さんみたいに高学歴のエリートにならなくちゃいけないんだよ。わかったらその女とは早く分かれて一切これから連絡はとるな。わかったな」
 忠博が言い切ると優人はうつむいたままそっと拳に力をこめたまま走って部屋から飛び出しそのまま家を飛び出した。優人はなぜ自分が泣いているのかわからなかった。当てもなく走り続けた。疲れっきって走ることができないようになったあたりで雨が降り出した。仕方なく優人が知っている唯一の雨宿りスポットの公園へ向かった。そこには大きなタコの遊具があり、中は雨宿りに適していた。優人は智晴とよくここで鬼ごっこをしたりして遊んでいた。優人はタコの中に入ると疲れとストレスのせいかどっと睡魔が襲ってきた。
気が付くと優人は毛布を掛けられ彼の目の前には人影があった。暗いこともあり誰かまではわからなかった。
「優人、大丈夫?」
 その声ですぐに僕を見つけたのが智晴だったことに気づいた。
「どうして」
「優人のお母さんから連絡があって。俺も心配になって探したんだけどやっぱりここだったか」
「よくわかったね」
「そりゃあ、もちろん幼馴染ですから。ところで、何があったのか教えてくれない?」
 優人は今までの流れをある程度説明した。
すると智晴がすっと立ち上がり優人の背後に行き腕を優人の方まで持っていき顔をすぐ横になるようにしていった。
「俺は、ずっと優人の味方だよ」 
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