第4話 オセロ(4)

文字数 726文字

 手紙を書き終えてから数日後、智晴が学校から帰ってポストを見ると二つの封筒が中にあった。智晴が中身を確認すると一つは智晴がこの前送ったものが帰ってきており、もう一つはその手紙を送った弁護士事務所からだった。智晴はそれらを確認して椅子に座りテレビをつけると夕方のニュースをやっていた。どうやらまた政治家が何かやらかしたらしい。
 「さてと」と智晴が弁護士事務からの封筒を開けようとしたときテレビではアナウンサーが速報のニュースを読み上げていた。映像が流れると智晴は驚きのあまり手を止めた。そこには捕まって送検される際の優人がいた。事件が起こった直後はニュースで取り沙汰されていたものの二カ月がたったいまもうほとんど彼がテレビに映ることはなかったのだ。テロップで大きく張り出されていたのは「恋人を殺した殺人犯、拘置所で自殺」。これを見てすぐに智晴はこの封筒の内容を察知できた。しばらく智晴は何も考えられないでいた。しばらくすると電話が鳴った。夏帆からだった。智晴が電話に出ると今から会えないかという内容だった。智晴は今誰かといないと自分を保てないような気がしていた。おそらく彼女もそうなのだろうと思うと会わなくてはならないという気持ちになった。
 数十分後、智晴が約束していた喫茶店につくともうすでに夏帆がアイスコーヒーを持って座っていた。
「なるほどね、そういう事があったの。じゃあ優人にはとも君の気持ち言えずじまいか」
 智晴が手紙のことを伝え終わると夏帆がそう言い締めくくった。智晴は目を赤くしてうつむいていた。すると肩のあたりから白くて細い腕がすっと伸びてきて夏帆の顔が智晴の顔の隣に来る。
「大丈夫、一緒に乗り越えよう」
 彼女の目にもまた涙が浮かんでいた。
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