10:再出発

文字数 8,053文字


『あれ、カッションがいない!』
 さっき床に横たわらせたカッションが、いつの間にか姿を消している。
 しかし、おもむろに捜すことはできない。今は部員全員に説教中であり、彼は舞莉以外の人には見えない。
 音楽室の床の段差に座る二つ結びの女の子。パーカッションパートであり、サックスパートでもある、羽後舞莉だ。赤メガネがトレードマークである。
「分かったか!」
「「「はいっ!!」」」
 理科の尾越先生と小崎先生が音楽室から出ていった。
「今日は、これから素早く楽器を片づけて帰りましょう。明日の朝練の時間に、奉仕作業のことを話し合います。あいさつはいらないので、片づけたら友達を待たずに下校してください。」
 顧問の森本先生はそれだけ言うと、二人の先生を追いかけるように、音楽室を後にした。
 森本先生も、一晩時間がほしいのだろう。

 楽器を片づけながらカッションを捜すが、やはりいない。舞莉が気づかない間に、目を覚まして家に帰ったのだろうか。尾越先生の罵声に失神してしまったのだから、心配である。

「ただいまー……って、あ、そうだった。」
 今朝、母が「今日も一日練でしょ? 午前中からみんなで買い物行っちゃうから。夕方には帰ってくるよ。」と言っていたのを思い出す。昼前に帰ってきてしまった。
 家には誰もいないのだ。いや、いなければいけない人がいる。
「カッション!」
 リビングのドアを開ける。いない。
 階段をのぼって自分の部屋のドアを開ける。
「え?」
 カッションは、舞莉のベッドに横たわっている。が、もう一人。
「あの……どちら様ですか。」
 ベッドの傍らに座っている、黒髪の真面目そうな雰囲気の男がいるのだ。
「これはこれは、失礼いたしました。僕は音楽の精霊のバリトンと申します。」
 男は胸に手を当てて、軽くお辞儀をする。
「あの、何でここにいるんですか。」
「カッションに頼まれたんですよ。『バリサクは俺の専門外だから、教えてやってくれ』って。」
「は、はぁ。」
 音楽の精霊ってカッション以外にもいるんだ……。
「それで、さっきあなたの元に来たら何か場が悪くて、話しかけられませんでした。急にカッションが倒れて、あの状況ではあなたは動けないだろうと判断し、引き取ってきました。」
「なるほど。確かに説教中は話しかけられませんよね。カッションが心配だったので助かりました。」
 舞莉はバリトンの隣に座る。さっきより、カッションの顔色はずいぶんよくなっていた。
「あっ、私は羽後舞莉です。えっと、カッションはパーカッションの精霊ですけど、あなたは……?」
 バリトンという名前自体は、声楽では男声の中音域の高さのことやそれを歌う人のこと、楽器ではユーフォニアムと同じ音域の楽器のこと、また、バリトンサックスの略でもある。
「バリトンと呼ばれるものの全般を受け持っています。バリトン歌手、管楽器のバリトン、弦楽器のバリトン、そしてバリトンサックスも。」
「そんなに!」
「まぁ、管楽器のバリトンはユーフォニアムと同じ音域なので、ユーフォニアムの精霊でもありますね。」
 目からウロコの情報ばかりで、脳みそがパンクしそうである。
 すると、カッションが目を覚ました。
「う……。」
「カッション! よかったぁ!」
 舞莉はカッションに抱きつく。
「いつの間にここに……。バリがここまで運んできてくれたんだろ。」
「うん。親友たるもの、助けるのは当たり前だよ。」
 バリトンは、カッションと話す時には敬語ではないようだ。
「あの、何て呼べばいいですか。」
「カッションがバリって言ってくれているので、バリでいいですよ。」
「なあ舞莉。敬語とか堅苦しくね? タメでいいじゃん。バリもな。」
 カッションが横からつっこむ。
「そ、そうだね。えっと。」
 バリトンが差し出した手には、例のブローチがある。大きさや形はカッションのものと同じで、中心に彫ってあるのは、紛れもなくバリトンサックスだ。
「舞莉とは、バリトンサクソフォンの精霊として、パートナーになるよ。」
 バリトンの言い方に引っかかりを感じた舞莉。
「今、他にパートナーになっている人はいるの?」
 バリトンは少し驚いた表情をする。
「いないよ。音楽の精霊は、同じ時に複数の人間とパートナーになってはいけない、っていう決まりがあるんだ。一人の人間に集中するためにね。」
「なるほど。」
 カッションだけでは知らなかったはずの情報だ。
「じゃあ……よろしくね。」
 舞莉はブローチに手をかざし、そのままバリトンの手を握る。
「こちらこそ。」
 バリトンがニッコリと笑った瞬間、ブローチから光が飛び出した。
 舞莉の脳内に響くこの曲は、サックスアンサンブルである。バリトンサックスのメロディも聞こえてきた。高音から低音まで堪能できるフレーズだ。
「かっこいい……。」
 ただの低音楽器のうちの一つだと考えていた舞莉だったが、すっかり魅力に取りつかれてしまった。
 ブローチからの光が消えると同時に、流れていた曲も終わった。
「これも、バリが作った曲?」
「そうだよ。他の人に聞かせたのは初めてだけど、どうだった?」
 バリトンは少し恥ずかしそうに下を向いた。
「バリサクって、こんなにかっこいいんだね!」
 キラキラした目でバリトンを見つめる舞莉に、バリトンはもちろん、カッションも困惑している。
 パートナーがもう一人増えた舞莉。もう一人増えたところで、『不思議な生活』であることには変わりないが。


 次の日、スティックに宿るカッションと、舞莉の肩に乗るバリトンと一緒に登校した。まだバリトンは宿り主を決めていない。
 人目につくところでは、舞莉はカッションと心の中で会話しているが、バリトンとも同じ方法で話せるらしい。
 重々しい空気の音楽室で、森本先生が話し始めた。
「さて、これからのことについてですが――」
 昨日は漠然と「奉仕作業をする」としか言われていなかった。
「休日練習の朝にやっている清掃を、奉仕作業としてやります。どこを掃除するかは、あとで言います。」
 と言うことは、パーカッションパートはトイレ掃除である。いや、舞莉はサックスパートでもある。今はパーカスの人と一緒に座っているが。
 舞莉は静かに、小さく手を挙げる。
「先生、私ってパーカスかサックス、どっちの掃除をやればいいんですか。」
「羽後さんはパーカスで。」
 マジかよ……。まぁ、そうなるよな。
 今日付で菜々美は辞めてしまったらしいし、細川先輩は来てないってことは……。
『一人でトイレ掃除やれってことですね、はいはい。』
 口に出しては言えないので、心の中でボヤく。
「奉仕作業は、いつも掃除しているところではなく、学校中やってもらいます。」
「えぇー」と言いそうになって、飲みこんだ音が聞こえた。
 パートごとに、先生から掃除する場所が告げられる。
「パーカスは、A棟のトイレ全部と、いつものB棟三階のトイレ。」
「「「はい。」」」
 今パーカスに残っている、舞莉と大島先輩と司の三人で返事をした。
「『掃除中に喋っていたり綺麗になっていなかったりすれば、吹部はこのまま廃部だ。』と、尾越先生が仰っていました。部活を再開したければ、誠心誠意、集中してやりましょう。」
「「「はい!」」」
 今日の放課後から、奉仕作業の掃除が始まった。

『何で掃除まで、二人ともついて来るの?』
 舞莉はまず、一年生の教室がある、A棟四階のトイレを掃除している。
 あの男子二人からは「羽後は一人で時間かかるだろうから、別々に行動しよう。」と言われていた。
『確かに二人とも見えないし、精霊だけどさ。当たり前のように、ズケズケと女子トイレに入るんだね。まぁ、いいけど。』
 バケツで床に水をまき、デッキブラシで床をこする。
「女子つっても、相手は人間だぜ? 精霊の俺らには興味もねぇし。」
 誰もトイレに入ってこないと油断しているカッションは、学校では珍しく、人間と等身大の姿である。
『へぇ? こないだのこと言っちゃうよ?』
「何だっけ……あ。」
『興味ないなら、私にあんなこと言わないよね?』
「あんなことって、何があったの?」
 鏡の下にある出っ張りに座るバリトンが、首を突っこむ。
『実はね――』
「言うな、言うな! 恥ずかしい!」
「なるほど。察したよ、カッション。」
 カッションの顔が赤くなり、バリトンは意地悪そうにうなずいた。
 どうやら奉仕作業は、舞莉のところだけ賑やかになりそうである。


 次の週末。舞莉は川越にある、山野楽器という店に来ていた。
「何か、管楽器って買うものいっぱいあるのね。」
 部活動停止になる前に、古崎先輩から言われていたものを買っている。
 今のところ、カゴの中には、サックスのお手入れセット、チューナー、チューナーマイク、リード、リードケースが入っていた。
「あとは、ストラップか。先輩から『アルト用とかテナー用みたいに、決まってるやつもあるから、気をつけてね』って言われた。」
 舞莉は見慣れたストラップを手にする。
「これ、サックスの人みんな、多分これだよ。でも、バリサク重いし痛くならないのかな。」
 古崎先輩はこれを使っている。ネットで下調べもしたが、色々な情報が出てきて結局分からなかった。
 最終手段。店員さんに聞いてみる。
「サックスですね。何のサックスですか?」
 カゴにあるものを見ただけで分かったらしい。
「バリサクです。」
「バリサクですか!」
 そりゃあ驚くのも無理はないよね。サックス初めての人が、いきなりバリトンを吹くんだもん。しかもこんなちんちくりんが。アルトとかテナーじゃなく。
「バリサクなら……フックがしっかりしている方がいいですね。こういうプラスチック製だと折れてしまうこともあるので。」
 そう言って、舞莉が手にしているストラップを指す店員さん。よく見たら、古崎先輩のものとは違っていた。先輩のはS字の金属のフックだったはず。
「調節するところが二箇所になっていますが、これならアルトからバリトンまで使えます。」
 バリサクを吹く女性の写真がある、ストラップを取ってきてくれた。写真では、片方の肩にかけて使っているが……。
「これ、写真みたいに肩にかけるんじゃなくて、首にもかけられますか。」
「大丈夫だと思いますよ。」
「じゃあ、これにします。」
 先輩が使っているやつより、パッドの部分が広めで疲れにくそう。今まで先輩から借りてたやつよりはマシだよね。
 少しお高めだったが、ケチるところではない。先輩のように、プラスチックのフックが壊れて買い直すよりはいいだろう。
「大きい楽器って、何かと高くつくのね。」
「そうですね……。」
 母からこぼれた言葉に苦笑いする店員さん。ストラップもそうだが、特にリード。一箱約五千円で五枚しか入っていない。クラやアルトは十枚入って三千円くらいなのに。
「古崎先輩が嘆いてた理由が分かった気がする。リードが高いって。」
 一枚千円のリード、大事にしないとなぁ。

「おかえり。一式買ってきたんだね。」
 カッションとバリトンは留守番していた。
 宿り主がスティックのカッションは、宿り主なしでは、スティックから半径五百メートルより外に出ることはできない。
 宿り主を定めていないバリトンは、宿り主を決めている他の精霊と一緒にいなければ、体の透明化が安定しないらしい。
 プライベートの外出で、わざわざスティックを持っていく気がしなかったので、留守番という形になった。
「ホントはバリに来てもらって、一緒に選んでほしかったんだけど。」
 舞莉は買ったもの全てを、とりあえずベッドにばらまく。
「うんうん。えっと……これは?」
 バリトンが手にしたのは、スプレータイプのマウスピースクリーナー。
「何か、学校用のマウスピースって、他の人も使ってたから汚れてるらしいよ。月一でこれ使うといいって言ってた。」
「確かに。白っぽい汚れつくからね。なるほど。」
「俺、管楽器のことは分からねぇ。眠い。」
 あくびをするカッション。
「うーん。僕、このストラップに宿ろうかな。」
「えっ!」
 カッションの眠そうな目が見開かれた。
「舞莉は、学校に置いてってもいいスティックを、カッションのために毎日持ち帰ってるんだよね。ストラップも、普通は楽器ケースの中に入れておくものだけど……いいかな?」
「まぁ、『ストラップしまい忘れてるよ!』とか言われちゃいそうだけど。いいよ。」
 プラスチックの箱から出し、舞莉は新品のストラップを両手に乗せた。
 バリトンは片手でストラップに触れると、目を閉じる。触れたところから吸いこまれるようにして、バリトンの姿が消えた。
「成功したみたいだね。」
 ストラップからバリトンの声が聞こえた。
「これでようやく、バリも正式に舞莉のパートナーだな! ひゃっほい!」
 カッションは三頭身の姿になると、ベッドの上で、トランポリンのごとく遊び始めた。
「全く、落ち着きがないなぁ。」
 白い目で見る舞莉。
「昔から変わらずだね。親友の僕のことを、自分のことのように喜んでくれて。分かりやすく。」
 いつの間にか、舞莉の隣に座っていたバリトンの横顔は、どこか我が子を見る父親のようにも見えた。
『親友』という存在を羨ましく思う舞莉だった。


 部活動停止だったが、尾越先生に交渉して、アンサンブルコンテストには出させてもらえることになった。
 会場にはメンバーだけが行き、舞莉たちは結果だけ知らされた。
 管打楽器八重奏の『沢池萃』は、地区大会銀賞。
 木管三重奏の『トリプルあいす』は、地区大会賞なしだった。
 昨年の先輩たちが西関東大会に行ったこともあり、結果にメンバーはだいぶ落ちこんでいた。


 その頃、舞莉たちパーカッションパートは、森本先生からあることを言われていた。
「あの、奉仕作業が始まってから、トイレの洗剤の減りが早いって怒られてしまいまして。洗剤使わないでもらえますか。」
「でも、綺麗になっていなければ廃部だって言われたじゃないですか。」
 司が反論する。
「毎日掃除しているので、さほど汚れないはずです。奉仕作業でより綺麗にしているので。尾越先生、そこは配慮してもらえるでしょう。」
 自信なさげの森本先生に、カッションはやれやれと首を振る。
「ホントだろうな? もりもってぃーのこと、あんま信用できねぇからなぁ。」
 今日の掃除場所に向かいながら、舞莉は目をふせた。
『顧問として、部活再開できるように、もっとシャンとしてほしいよ……。』
「何か、ここの吹部、大丈夫なのかな。まぁ、大丈夫じゃないから停止になってるんだけどね……。」
 部活動停止になってから来たバリトンも、薄々南吹が『ヤバい』ことが分かったらしい。


 部活動停止から約一ヶ月。期末テスト前で、部活動がテスト休みになる直前に、吹奏楽部員は音楽室に集められた。尾越先生と小崎先生もいる。
 今回の事態の発端である三人は、尾越先生に指示されて、腕立て伏せの姿勢をさせられている。
 森本先生は少し溜めてから、部員をしっかりと見て言った。
「みなさん、期末が終わった次の週の月曜日、十二月五日から部活動再開の許可が降りました。」
 歓喜の声で溢れるはずだが、ペナルティを現在進行形で食らっている三人の目の前ではできない。そんな雰囲気である。
「ただし。」
 ただし……?
「再開してから、今までと同じような練習をするわけにはいきません。そこで、自分なりに考えた改善策をやっていきます。」
 先生は人差し指を立てる。
「一つ目、活動時間の短縮。前部長の上野さんの意向で、部活の時間を延長していました。しかし、ただ長いだけなので気が緩んでしまい、あの様なことが起こったと考えます。それでも、上野さんは、土日練を夕方の五時までしたかったそうですが、さすがにと思って却下したんですがね。」
 周りから「五時!?」と驚嘆の声が聞こえた。
『上野先輩が練習にひたむきだってことは分かっていたけど、五時って! 九時間も拘束されるとこだったんだ……。』
 コンクールメンバーにとっては、練習時間が長い方がいいのかもしれない。だが、メンバーではない人にとって、練習時間が長いのは苦痛だった。特に基礎練習ばかりやらされる一年生は、当然集中力は続かなかったのだ。
 練習時間の短縮は、何ヶ月も前からしてほしかったことだった。これは妥当だろう。
「二つ目、木曜日を必ず休みにし、日曜日は半日練習にする。この休みはしっかりと休息をとり、勉強に充ててもらいます。」
 木曜日休みは元からあったものだったが、実質休みではなかった。
「今までの休みなし最長記録、三十五日だもんな。もりもってぃーもそんなんじゃ疲れるだろ。じいさんなんだし。」
 人間と等身大で、あぐらをかいているカッションとバリトン。
「しっかり練習したくて時間伸ばしたのに、集中してできなかったら元も子もないからね。」
 精霊たちもうなずいて肯定している。
 すると、尾越先生が重そうな体を揺らして、みんなの前に立った。
「活動再開するにあたり、俺が吹奏楽部の"新"十ヶ条を決めたからな。ほら、部長、配れ。」
「はい!」
 板倉先輩は、駆け足で尾越先生の元に行き、プリントの束を受け取る。
『……何これ。』
 A4の紙いっぱいに、明朝体の太字で書かれた十ヶ条。無駄に長い。
「部活動が再開してから、これを模造紙に書いて、今貼ってある旧十ヶ条のところに貼り直しておけ。部活動を始める前に、全員でこれを唱えること。いいか?」
「「「はいっ!」」」
 部活動が停止する時も再開する時も、結局はバレーボール部顧問で理科の先生の、尾越先生という『部外者』に支配されていた。
 この停止期間中に、他の部から「やらかしの吹奏楽部」と揶揄されたのは、数える程ではない。この言葉を広めたのは、尾越先生である。授業で散々、この名前で呼ばれては、難しい問題ばかり聞かれ、スクワットの羽目に遭ってきた。
「読み上げるぞ。南中吹奏楽部新十ヶ条――」

 ⒈ 理科室・技術室は使用しない 。(使用したい場合は許可を得る)
 ⒉ 校舎内のカギ締めを使用後必ず行う。(担当場所の責任者を必ず決める。正・副)
 ⒊ 使用場所の責任者を決めて、しっかり管理する。
 ⒋ 休日・祝日等、使用場所(以外も)の掃除を必ず二十分間行う。(使用前か使用後かどちらか!)
 ⒌ 一週間に一度は、使用場所の責任者(吹奏楽部)は、部屋の担当の先生に使用の許可・報告を必ずする。
 ⒍ 今後また、部活動において、トラブルが発生した場合、改善を図れたと認められるまで奉仕活動を行う。(?ヶ月間)
 ⒎ ⒍と同様に、トラブルが発生した場合、大会への出場を自粛する。
 ⒏ 昨年同様の「あいさつ」をしっかりする。
 ⒐ 授業にしっかり取り組む!(授業態度・提出物・定期テスト等)
 10. すべての吹奏楽部員!一人一人!学校に貢献できる行動をとる。(委員会・清掃・行事・学級活動等)

 再出発の南吹だったが、これからもあの『部外者』から睨まれるのかと思うと、寒気がした。
『新十ヶ条が残る限り、吹部がやらかしたというレッテルは、これを知らない後輩にも背負わせることになるんだね……。』
 今日で最後になった奉仕作業。舞莉は一人、窓を拭きながらため息をついた。
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登場人物紹介


○羽後 舞莉(ひばる まいり)

主人公。1年生。クラリネットを吹きたくて吹奏楽部に入ったが、パーカッションパートになる。

先輩からいじめられ、サックスパート(バリトンサックス)に移動した。


○カッション

舞莉に音楽の楽しさを知ってもらうため、パートナーになった。舞莉のスティックに宿る音楽の精霊。

○バリトン(第二楽章〜)

カッションに頼まれ、舞莉にバリトンサックスを教えることになった。

舞莉のストラップに宿る音楽の精霊。

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