感情のかくれんぼ 続編

文字数 1,466文字

日曜日の銀座五丁目
今日も買い物を楽しんでいる人達で溢れていた
亜希と和幸も その群衆の中に溶け込んで
アンダンテなリズムで 並木通りを歩いていた

ふと亜希の足が止まる
和幸も一緒に止まる
和幸は、止まった亜希に気づかず、前を歩きどんどん先に行くような性格ではなく いつも亜希の様子を 見ていないようで 見ているのだった

カルティエ本店のショーウインドに、ピンクゴールドのペアーリングが飾ってある 真ん中には小さなダイヤが埋め込まれているデザインで シンプルだけど リングの色合いと輝きが美しく 吸い込まれるように みとれた


亜希 「綺麗だね」

和幸「うん」

亜希 (いいなぁ....和幸とお揃いのリング..欲しいなぁ.. 憧れ... 私たちも付き合って7年目 今年私は36歳だし 和幸..私達の将来をどう思ってるのかな..)

和幸の方をチラッと向く亜希

和幸は連日の仕事の疲れか 少し眠そうな顔をしている

亜希(..ありがとうね、休日はゆっくり家で寝てたかったよね、私が買い物行きたいって行ったから 一緒に付き合ってくれて 来てくれて)

亜希「ねぇ この通りにガレリエカフェって言う美味しい和栗のモンブランの店があるの、この前 美和子と一緒に銀座に遊びに来た時、みつけちゃったんだ 行こ行こ」

亜希は 焦ってもいい事はない、こうなりたいと思い続けると、自然とそういう風に人は行動して、意外と叶っちゃうって言うし、いつか訪れるその日を楽しみにしよう、と指輪のことは頭の片隅に置いた


【garelie cafe le grand 】は、銀座三丁目並木通り沿いにアベニュービルというビルがあり(現在は店名が変わっていますが、店内もそのままあり、モンブランも食べれます。ちなみに五丁目に【 銀座みゆき館 銀座5丁目店】もありそこでも同じ和栗モンブランを食べれます) そのビルの中に店を構えていて、ドアを開けると細めの2階へ続く階段を上がっていく アンティークの雰囲気漂う可愛らしいお店

あまり人に教えたくない隠れ家的カフェ

出てくる食器も花柄や猫が描かれていたりしていて 店主の美的センスが光る ここのお店の感性が、忙しない日常で錆び付いた心を 癒し豊かにしてくれる

照明も明るすぎず温かな明るさで、壁に飾ってある絵も柔らかなタッチで、テーブルの配置も、さりげなく、他のお客さんと上手に距離が保てる角度になっていて、品のある落ち着く店内


亜希「どぉ、、、? いいかんじ、、?」

和幸「うん、 亜希が好きそうな店」

亜希「そうだね、うん。モンブランはどう、、?」

和幸「美味しい」

亜希「良かった、有名なみんなが美味しいっていうモンブランの店が近くにあるんだけど、私はそこよりここのモンブランが好きなんだ、モンブランの下にあるクリームの甘さも甘すぎず、程よくって。」

ついつい、嬉しさが爆発して、おしゃべりになってしまう亜希


紅茶のいい香りが2人を包みます


亜希( 今日も和幸、上手にかくれんぼしてるなぁ)

亜希は紅茶を飲む和幸をみつめます

薄めのカップの縁に 和幸の唇があたると
静かに 和幸は 紅茶を飲みます

その後ゆっくり小さめの深い呼吸をして
和幸はカップをソーサーに戻します

亜希( 和幸も仕事の疲れ、ここで少しとれていたらいいな。)

亜希が 3口目のモンブランに挑もうと フォークにモンブランを乗せて ルンルンで口に運ぼうとしたその時


和幸「亜希...」

亜希「....ん?」

和幸「俺たち 結婚しよう」

あまりの衝撃で
亜希はフォークに乗っていたモンブランを
フォークごと 落とした
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