和幸目線

文字数 1,997文字

「俺たち 結婚しよう」

和幸の口調でまねをする亜希
ニタニタする

ベットに仰向けになって左手を上にかざして

薬指に輝くリングをみつめては、腕を頭の方へ下ろし、また少しすると腕を上げて 左手を上にかざす
ニタニタする


遠くから見たらヨガをやっているようにもみえる


(数日経っても 実感がわかない、私プロポーズされたんだよな、この輝くリングが 教えてくれる)



ぽぉ~とする亜希



和幸「... 耳かき知らない? いつもの所になくて..」

亜希のいる寝室に入ってくる和幸
なんとなく 慌てて 左腕をベットに下ろす亜希

和幸( 亜希....なにニヤニヤしてるんだ..)

和幸「あの..耳かき」

亜希「耳かきね、私が使って使いっぱなしにしちゃったの、文房具が入ってるケースの中に入れちゃった..ごめん」

和幸「いいよ、わかったよ、ありがと」

2人は半同棲中だ

和幸 (亜希なんか嬉しそうだったな、亜希の笑顔をずっと守っていきたい、結婚したら責任を持って、彼女を幸せにするんだ)


和幸は 耳かきをしながら 心の中で思った




俺達が出会ったのは、10年前の留学先のカナダ ブリティッシュコロンビア州 バンクーバーだ 俺は当時 大学院の医学部の学生で、教授にネイティブの英語に触れてきた方がこれから先の社会に出た時 役に立つと勧められ 大学の夏休みの期間も利用して 半年の短期留学をすることに決めた

俺はあまり喋る方ではない
医師は 人とのコミュニケーションが図れなければ 気持ちがわからなければ どれだけ医学の知識や技術があっても 患者を救えないと 教授は言う

俺の寮は ブロードウェイst.とメインst.の交差点に、茶色いレンガ作りのビルが建っているのだが、その交差点の1つ南側の道 10th Avenueの通りにある グレーの壁に建物の際は赤色のエッジの効いた三階建ての建物だ。寮のご夫妻はとても親切だった、language schoolはブロードウェイst.沿いにあり、片道徒歩40分。バス会社がストライキを起こしていて、これは計算外だった。 おかげで体力も着いたし、徒歩で通っていたため、ブロードウェイst.にあるお店に立ち寄ったり バスで通り過ぎていては、見ることの出来なかった景色をみれて、地元の子供みたく 地域を深く味わい知ることができた。しかし さすがに 勉強する時間が、通学時間に取られてしまうのは勿体無いと思い、途中からは、自転車を購入し、自転車通学をするようになった。

なぜカナダにしたかというと、まずイギリス英語を学びたかったのと、治安が良い、パンフレットに載っていた立ち並ビル郡の景色にも惹かれた。
都会なのに 海と木々 緑豊かな自然に恵まれていて、美しい街という印象だった。

人種は、アジア系も多く、チャイナタウンもあり、フランス圏でもあるので、街の至る所は、英語とフランス語の両方の文字で表されている

language schoolのTOEIC専門のコースのclassで 隣の席になったのが、亜希と初めて出会った、その時だった。

学校内では日本語は禁止で、このクラスは特に 授業のテンポが早く、容赦なく質問質問質問攻めをしてくるteacherだった

next. colect. next...

問題を解き答え合わせ、回答の解説も英語、、
ある程度日本で、英語を学んできたが、ネイティブの発音とスピードに、全くついていけず、 帰っては寮で復習と予習に明け暮れた。

亜希「このクラス、きびしいですよね」

和幸「そうですね」

亜希「私、お腹痛くなってきちゃうんです笑 このクラスの日 笑」

今日のレッスンも終わり、帰ろうと思ったら、language schoolの出入口で、 亜希がいて、そう話しかけてきた

亜希「でも日本の人いると、なんか安心します、私は宮原亜希です。ロブソン通り1916に住んでいます、グレーに青色のラインの入ったマンション。なんてお名前ですか? どの辺に住んでるんですか?日本はどこ出身ですか? 私は名古屋」

和幸( 知らない異国の地で、日本人に会うと 嬉しくて話したくなるよなぁ。それにしても初対面でよく喋る子だなぁ)

和幸「私は、斎藤和幸といいます。broadway st.とmain st.の交差点の辺で。寮にいます。出身は静岡です」

亜希「また明日もあのクラスに来ます?」

和幸「はい」


亜希「斎藤さん、また明日もがんばりましょうね、私はお腹痛くならなきゃいいけど笑 来れるといいな笑」


そう言って、お別れして 俺は自転車でいつもの道を走り、いつも通り、真っ直ぐ寮に帰り、寮のオーナーの奥さんミッシェルの用意してくれた夕食を頂き、夜は勉強に励んだ。しかしあの女の子の笑顔が時々思い出され、明日は彼女お腹痛くならないで来れるのかと気になっている自分もいた


この日を境に 亜希が 俺の知らない世界に 連れ出してくれる日々が始まった

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