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文字数 1,115文字

 古い民家の庭。
 さして広くは無いが……手入れは行き届いている。
 そこに、1人の老人と、1人の若い男、1人の少女が居た。
 今回も、また照明なしの自然光撮影。
 そして、自然光撮影が最も美しく写ると言われている夕暮れ時……いわゆる「マジック・アワー」に行なわれた。
「何故、俺を助けた?」
 俺がかつて演じた役を、今、演じている前田君がそう言った。
「君の敵から、私達が護ってきた人を護って欲しい。その代りに、君は我が一族の支援を受ける事が出来るようになる」
「私に護り手など必要ない」
 黒炎龍鬼を衝撃波で吹き飛ばした少女は、冷い口調でそう言った。
「こいつの言う通りだ。どう考えても、こいつは俺より強いだろう? 何故、俺が護ってやる必要が有る?」
「理由は2つ有る。1つは……お前を改造した組織が作った『鬼』達は、短時間だが、我々の『姫神』の力を無効化出来る。先代の『姫神』も……その手で命を奪われた。それに対抗するには、奴らと同じ『鬼』の力を持つ者が居た方がいい」
「先代? どう云う事だ? あいつらが『神』と呼んでた連中は……殺せば、それで終りでは無いのか?」
「殺しても、誰かに能力(ちから)は受け継がれる。大概は家族……と言っても養子でもいいようだ。どうやら、血の繋りの有無に関わらず『家族のように親しい誰か』だ。そして、前回、殺された時の経験も受け継がれる」
「お……おい……待て……。それじゃ……あの組織と、奴らが命を狙ってる『神』とやらの戦いは……」
「おそらく、人類とその文明が存続し続ける限り続く。殺される側は、前回、殺された時の経験を活かし、殺す側は、更にその裏をかかねばならない。殺し合いは続くが……後になればなるほど……激化していく。その内、『神』1人を殺す為に、『神』が居る町ごと核兵器で焼き払うようになるかも知れんが……それは、起きるとしても、まだ先だろう」
「待て……『神』とやらを殺しても、その力は受け継がれると言ったな……。おそらくは、先代の『神』の家族に……。じゃあ、まさか……奴らは……わざと、『神』以外にも被害が出るような戦い方をしているのか?」
「その通りだ。奴らと『神』の戦いに巻き込まれて、『神』の後継者が死んでくれれば……奴らにとっては願ったり叶ったりだ」
「2つ目の理由は……まさか……」
「察しがいいな……」
「『奴らを倒せなくてもいい。奴らに踏み躙られる者を1人でも減らせ』。それが、俺を、あの組織から逃してくれた男の遺言だ……。それを果たせるなら、あんた達に協力する」
「では……明日から戦い方を教えてやろう。我々の『姫神』を狙う者達を撃退する為の戦い方を……。それも、部外者への被害を、なるべく小さくする戦い方をな」
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