第22話 アワビ
文字数 668文字
「売りもしないし、殺しもしないよ……全く……シャワー浴びてくらぁ、瑞稀、後頼まぁ」
そう言って男はこの部屋の備付の浴室へと入っていった。音色はポカンと口を開けてしばらく浴室の方を見守っていると、中から水の流れる音と彼の歌声が聞こえてくる。
「ほーらほーらぁーみんなのー、こーえがすぅるー」
最早鼻歌どころではない、熱唱だ。唖然とし続けたままの音色に瑞稀が昨日の説明を始めた。
「そ、そんなことも知らず、失礼なことまで言って……大変申し訳ありませんでした。恥ずかしい……それと、泊めて頂きありがとうございました」
ペコペコと米つきバッタのように頭を下げる音色。そのとき男が浴室から出てくる。下半身バスタオル一枚巻きつけただけの恰好だ。
音色は慌てて顔を背ける。鼻血が出そうなくらい顔に血が集まる。
(は、ははは、裸を見てしまった……)
興奮が隠せない。男の裸なんて八尋以外見たこともない。そして八尋のそれよりも引き締まっていて色気を感じる。
顔を上げた音色が右の頬に掛かった髪を左手で掻き分ける。その仕草が妙に女性らしさを散りばめて、男二人は瞬刻、放心する。
「は、話は分かりました……で、でも何で、何もしなかったんですか? お金は持ってないけど……あなたたち良い人だけど、犯罪者なんですよね? あの、その……私……地味だから? やっぱり魅力ないからですか?」
音色の思考回路は崩壊した。頭の中はエロばっかりだ。バスタオルの中が気になって瑞稀の話も消化できていない。
ただ説明をしてくれた男が瑞稀、シャワー男が社長で一颯ということだけは理解した。
そう言って男はこの部屋の備付の浴室へと入っていった。音色はポカンと口を開けてしばらく浴室の方を見守っていると、中から水の流れる音と彼の歌声が聞こえてくる。
「ほーらほーらぁーみんなのー、こーえがすぅるー」
最早鼻歌どころではない、熱唱だ。唖然とし続けたままの音色に瑞稀が昨日の説明を始めた。
「そ、そんなことも知らず、失礼なことまで言って……大変申し訳ありませんでした。恥ずかしい……それと、泊めて頂きありがとうございました」
ペコペコと米つきバッタのように頭を下げる音色。そのとき男が浴室から出てくる。下半身バスタオル一枚巻きつけただけの恰好だ。
音色は慌てて顔を背ける。鼻血が出そうなくらい顔に血が集まる。
(は、ははは、裸を見てしまった……)
興奮が隠せない。男の裸なんて八尋以外見たこともない。そして八尋のそれよりも引き締まっていて色気を感じる。
顔を上げた音色が右の頬に掛かった髪を左手で掻き分ける。その仕草が妙に女性らしさを散りばめて、男二人は瞬刻、放心する。
「は、話は分かりました……で、でも何で、何もしなかったんですか? お金は持ってないけど……あなたたち良い人だけど、犯罪者なんですよね? あの、その……私……地味だから? やっぱり魅力ないからですか?」
音色の思考回路は崩壊した。頭の中はエロばっかりだ。バスタオルの中が気になって瑞稀の話も消化できていない。
ただ説明をしてくれた男が瑞稀、シャワー男が社長で一颯ということだけは理解した。