雨の女

文字数 229文字

傘をささず
濡れたまま歩く女を
みんな避ける

ずぶ濡れで
ずっと笑っているから
みんな避ける

 はい
 どうぞ

可哀想だと
思った幼稚園児が
自分の傘を差しだす

自分は
母親の傘に
入ればいいと
思ったのだ


女は
笑いかけるが
受け取らずに
先を急ぐ


男の子は
残念そうに
再び傘をさす

女は
嬉しいのだ
みんなが
避けて
みんなから
注目されることが

だから
笑っている

あの角を
曲がれば
アパートなのだ

シャワーを
浴びるから
子供から
傘を受け取らなかった

どうせなら
とことん濡れて
熱いシャワーを
浴びたい

ただ
それだけなのだ 
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