僕の話

声を殺す
虫を殺す
息は殺せない

恥をかく
鼾をかく
汗はかかない

矛盾だらけで
自分が嫌になる

嘘を重ねれば
やがて真になる

人の世を
流れた先に
待つ世界は
誰の世なのか

逃げてばかり
ふりばかり

ほんとうの自分を
いまだに知りません

溺れないように
救命胴衣を着て
浮き輪から手を離さない

口は達者だが
泳ぎは達者ではないのです

僕は
自分で自分を
狭く小さくしているようだ

浮き輪を
手放し
立ってみたら
足裏が川底に着きました

怖がるばかりで
現実が見えていないから
これからもずっと
恥の上塗りをするのでしょう